2005年9月21日(水)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙五日】パラナ州連邦警察は四日、海外在住のブラジル人出稼ぎのブラジル向け送金がマネーロンダンリング(資金洗浄、以下マネロン)のルートになっていることを明らかにした。
まず出稼ぎは、手持ちのドル通貨をブラジルへ送金するため海外の金融業者を訪ねる。同金融業者はブラジルの委託金融業者へ電話連絡をして、送金受取人にドル該当額をレアル通貨で支払う。出稼ぎ人から受け取ったドル通貨は、タックスヘイブンにあるブラジルの法人または個人の口座へ振込み送金をする。
連邦警察にとって、これら金融業者は単なる為替業者ではない。金融業者は所得税申告で数々の義務が免じられ、恩典がある出稼ぎ人の名義で海外へ送金をする。こうすれば脱税などの違法資金を、出稼ぎブラジル人の名義で合法的に海外へ送金できる。海外で所得税申告をしないブラジル人出稼ぎには、所轄国の財務省も中央銀行も資産の捜査介入をしない。
委託金融業者は、ブラジルで受け取った脱税や汚職などの違法レアル通貨を、タップリ手数料を差し引いて依頼人の海外口座へ振り込むよう海外の金融業者へ連絡する。同受取り額に相当するドル通貨を、金融業者が出稼ぎ人から受け取ったドル通貨で依頼人の海外秘密口座へ振り込む。銀行を一切使わないので、足跡が残らないのがミソ。
タックスヘイブンによっては、外国の官憲による捜査から守ってくれる。租税協定が結ばれていない国々はまだ多く、金融真空地帯となっている。租税協定がない国の間では、一歩国外へ出てしまえば追っ手が追跡しない。
ブラジル国内からの送金依頼が多く出稼ぎ人の送金依頼が不足しているので、金融業者による海外のブラジル向け送金は、手数料を取らないから無料だ。この種の金融業者と取引をした個人は、パラナ州連警関係だけで一万人。動く金は年間三〇億ドル。
連警の照準内にあって世界的ネットを持つ金融業は、大きい順に次の通り。ソース・エックスチェンジ、インタートランスファ、ユノ・レミテンス、スタートレディング、ヴィゴ、USビジネス、グラジュアル、フラッシュなど。
金融業者の顧客には、大手企業が名を連ねている。大手企業の違法送金は高額なので、有名人や著名人など社会的地位の高い人らが名義賃貸人(ラランジャ)に使われる。社会的地位の高い人は、捜査当局から疑われることも少ないので一挙両得といえる。
海外送金といっても実際には銀行間送金は行われないから、一切証拠も残らない。中央銀行も国税庁も、捜査の手がかりが何もない。国際通貨基金(IMF)は米国の百三十万人と日本の三十万人の出稼ぎの送金について注意を促した。