2005年9月21日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙五日】もしブラジルを二等分して、一方にレアル通貨だけを使用させ、もう一方でドルなど外国通貨が使用されれば、ブラジルは通貨危機から解放されるとアマラル・シティバンク元頭取がいう。
現在ブラジルは国際貿易が好調なため、輸出も順調だ。二〇〇五年の輸出は、一兆一〇〇〇億ドルを超過すると予測される。貿易黒字はレアル通貨高騰に関わらず、史上最高の四〇〇億ドルに達しようとしている。
現在の国内総生産(GDP)に対する輸出率は二五%だが、〇六年は三〇%に達する見込みだ。この調子で貿易黒字も伸びると、外国からの投資は七月現在の二〇億ドルから〇六年初めには一〇〇億ドルに達し、今年同期比で八八%増の見込みだ。
労働者党(PT)政権に入って対外債務は一八三九億ドルから一二七〇億ドルに減った。国際通貨基金(IMF)の助けを借りないこの努力は賞賛に値する。このようにドル通貨で見たブラジルは、満更でもない。外債とIMF監査で縮み上がったブラジルは、過去のものとなりつつある。
一方、レアル通貨で見たブラジルは、選挙資金や裏金でガタガタしている。八月号のエコノミスト誌によれば、経済成長率は途上国二十五カ国中、最低の三%という。輸出メーカーの努力がなかったら、もっと惨めだったに違いない。
経済成長が伸びない理由は、実質金利一四%とGDP比三七%という重税にある。行政府は税収ばかり心配して、企業の資産状態など一顧だにしない。立法府は鶏小屋だ。法治国家ブラジルは政治改革なんて考えてもいない。ルーラ大統領の演説を聞いていると自己弁護に汲々としている。
第2・四半期の経済はやや回復したが、GDPの五一・三%という債務総額一兆レアルを見ると、債務は増加傾向にあり、まだ手放しでは喜べない。基本金利は〇五年末でも、まだ世界一の約一七%ではないか。レアル通貨で見たブラジルの政治はケイレンを起こしている。
経済の原動力となる政治改革は忘れられている。ブラジルの恥部ともいうべき汚職政治の一掃を国民は期待しているが、果たしてアマラルCPI委員長がいうように、告発をウヤムヤにさせないで責任の所在を明確にできるのだろうか。