2005年9月21日(水)
【ラパス移住地発=堀江剛史記者】密林開拓から半世紀、ラパス移住地に喜びの声――。パラグアイ・ラパス移住地が入植五十周年を迎え今月十五日、市内のイタプア国際文化会館で記念式典が行われた。ピラポやイグアスなど近隣移住地やラパスにゆかりのある約八百人が会場を埋めた。パラグアイ政府からはグスタヴォ・ディアス農牧大臣が出席、移住地出身の田岡功駐日特命全権大使も駆けつけた。
式典に先駆け、移住地で亡くなった二百九十八柱を弔う慰霊祭が行われた。佐々木広一ラパス日本人会長は献花、移住地建設中途で亡くなった先亡者を悼み、「高齢化対策やパラグアイ社会との共存共栄」をこれからの移住地の課題と位置付けた。
続いて、河野敏ラパス農業協同組合長、在パ日本国大使館の須藤紀夫参事官らがそれぞれ追悼の辞を述べ、国内の移住地代表者らが献花。遺族を代表し、後藤吉雅さんが謝辞を述べた。
式典では、宮里伝ラパス市長は「パラグアイと日本の懸け橋に務めたい」とあいさつ。佐々木会長が入植の経緯を振り返り、現在の移住地の状況を報告した。
グスタヴォ・ディアス農牧大臣は「日本人移住者は農業の発展に大きく貢献した」と祝福、JICAの斉藤寛志所長は「旧直轄移住地の中で最も成熟した日系社会を形成している」と評価した。
移住地出身で田岡功駐日大使も駆けつけ、「日本での生活で移住地開拓や日本人としての誇りを再確認した」とし、「一世の福祉をこれからの課題とし、開拓者精神を次世代に残していきたい」と力強く語った。
一九五五年入植者に記念品が贈呈され、八十歳以上の二十六人が高齢者表彰された。歴代の農協の組合長、婦人会長、青年部長らが壇上で祝福を受けた。
宮里市長の母、玉枝さん(74)は「一本の道、一本の木それぞれに思い出があります」と感無量の表情を見せた。
高齢者表彰を受けた渡辺ヨシエさん(80)は「井戸を掘って、大木を倒して…苦労しました。でも、この日を迎えられて本当に嬉しい」と笑顔で話した。 八六年に市制を施行。人口は約三千人、うち日系人は約六百七十人を数える。