先日、ロンドリーナで催された全伯川柳大会に取材に行ったところ、一人のご老人が杖をつき家族に支えられて私のところへやってきた。「あんたニッケイかね?それじゃ、私は目の手術をしてすっかり字が見えるようになったから、またよろしくと伝えておいて!」
長い間休んでいたニッケイ柳壇の選者であり、短詩愛好者の多いといわれるパラナで、川柳のリーダーである瀬古義信さんの復活宣言であった。九十二歳である。
日本ではユーモアの効いた川柳が盛んだが、ブラジルでそうでないのはどうしてか。「俳句は自然を詠み、川柳は人事を切り取る」と聞いたことがあるが、ブラジルでは自然に詠嘆する機会の方が多いのかもしれない。
とはいえ、二つの短詩、両方やってもいいだろう。それに、あなたの俳句、川柳かもしれませんよ。 (郁)
05/09/21