2005年10月4日(火)
【既報関連】サンパウロ博物研究会の顧問、橋本梧郎氏(92)とパラナ州グアイラ市在住の松山芳子さん(77)がNHKに好意で貸していた資料が八年越しに返還された。七月の本紙掲載を受け、NHKが両氏に電話で謝罪、返還を確約していたもの。
「セッテ・ケーダス(七つの滝)の映像もきれいに映っていました」。松山さんは嬉しそうな声を出した。
貸した十六ミリフィルムと、ビデオにダビングされたものが送られてきた。 一九五九年、同市博物館の計画が持ちあがって以来、実現に尽力してきた。その目玉展示に「ダムに沈んだ滝の映像を」と考えていただけに、喜びはひとしおだ。
ビデオの映像に、松山さんの夫、信二郎さん(七三年死去、高知県出身)の両親の還暦祝いの風景が映し出されたのにはビックリ。信二郎さんが古里の思いでにと、手に携えて海を渡ったフィルムでもあった。
「初めて主人の両親を見ました。本当に私にとって大事なものになりました」
博物館は松山さんの念願叶い、十一月十四日に落成式を迎える。
「責任が果たせた。良かった」。松山さんをNHK関係者に紹介しただけに八年間気にかかっていた橋本氏。安堵した様子で取材に答えた。
今回、「上塚周平伝」が返却。以前に送られたものも含め、これで全ての資料が橋本氏の手に戻った。謝罪のファックスも送られてきたという。
NHK放送八十周年記念ドラマ「ハルとナツ~届かなかった手紙~」放送直前に〃届かなかった資料〃は戻るべきところに戻ったようだ。