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今年の輸出目標を上方修正1170億ドルへ=世界経済好況の波に乗る=ドル安の逆風はねのける快挙

2005年10月5日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙四日】輸出が好調に推移しているのを受けて、政府は今年の輸出目標を当初の一一二〇億ドルから一一七〇億ドルに引き上げ、それに伴い経常収支黒字目標を四二〇億ドルへと上方修正した。伯銀本店で三日に行われた、輸出に貢献した中小企業九社の表彰式の演説で、フルラン産業開発相が明らかにした。同相によると今年九月までの過去十二カ月間で今年の輸出目標である一一二〇億を達成しており、世界経済の好況の波に乗って今後もこのままで推移することを踏まえて上方修正したもの。貿易黒字の拡大はドル安の逆風をはねのけての史上初の快挙で、ルーラ大統領をして〃出来過ぎ〃と言わしめたとの裏話も披露した。
 フルラン産業開発相はルーラ大統領が出来過ぎだとの評価を下したことに同感だとした上で、輸出の増加は世界経済、とくにアメリカや中国、一部のヨーロッパ諸国の好況による需要増が最大の原因だと指摘した。それに伴いブラジルに限らず他の輸出国も軒並み実績が向上していることを強調した。
 しかしブラジルは世界の輸出国の平均上昇率の倍以上の数字を示しており、ドル安の逆境にもかかわらず、長年の努力が報われた結果だとして企業努力を賞讃した。さらに輸出の増加でドル安傾向は短期的に改善されないだろうとの見方を示した上で、レアル通貨の価値が世界でも最も強いものになったことにより、国際信用を増して経済発展につながるとの所信を表明した。
 貿易黒字については年末商戦に向けた工業原料や半製品の輸入や、日用品の輸入の動向次第だが、貿易局のデータでは過去十二カ月間の実績通りの四一二億五九〇〇万ドルとはじき出しており、昨年の三二〇億七九〇〇万ドルより二八・六%の上昇になることを明らかにした。
 産業開発省の発表によると、九月度の輸出は単月での最高となった一〇六億三五〇〇万ドル、輸出が六三億六〇〇万ドルで差し引き四三億二九〇〇万ドルの出超となった。
 八月に急増したが、輸出入ともに今年に入り同水準で推移した。今年一月から九月までの累計は輸出が八六七億二〇〇〇万ドルで昨年同時期の七〇二億七八〇〇万ドルと比し二三・四%の増加となった。これに対し輸入は五四〇億四九〇〇万ドルで昨年の四五二億三〇〇万ドルの一九・六%増となり、貿易黒字は三二六億七一〇〇万ドルで昨年の二五〇億七五〇〇万ドルと比し三〇・三%増を記録した。
 九月までの過去十二カ月間の累計は輸出が一一二九億一七〇〇万ドルとなり、昨年同時期の九〇五億七二〇〇万ドルを二四・七%上回った。この時点で今年の目標の一一二〇億ドルを超えたことで、今回の上方修正となった。
 輸入は七一六億五八〇〇万ドルと昨年同期の五八四億九三〇〇万ドルの二二・五%増となり、これにより貿易黒字の累計は四一二億五九〇〇万ドルの空前の記録で、昨年の三二〇億七九〇〇万ドルの二八・六%増となった。
 いっぽうで輸出企業は低利での融資や助成金など政府の支援不足を指摘するとともに、輸出用原材料の輸入に対し、煩雑な手続きや規制が多すぎるとし、官僚主義の改善を求める声が強まっている。