アグリビジネス

2005年10月5日(水)

 サンパウロ市のブタンタン研究所は、鳥インフルエンザの国産ワクチンを製造することになった。同研究所技術課は、世界保健機関(WHO)の仲介により、鳥インフルエンザの病原菌とされるウイルスの種菌H5N1を発注した。同ワクチンは二〇〇七年に市販予定となっている。菌培養の機器類は政府の輸入許可が出次第、船積みされる。国産ワクチンの製造予算三〇〇万レアルは、保健省の奔走で交付が決まった。鳥インフルエンザ国際会議が十一月、リオで開催される。五カ月後に生産開始され、〇六年には二万アンプルが市販される予定だ。
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 地球温暖化現象の影響が、農産物の成長と結実に及び始めた。EUは〇三年、熱波が及ぼした農作物への影響を基礎に〇五年度の収穫を計算すると、深刻な事態が予想されるとした。これまで科学者らは、温暖化現象が植物の異常成長を促すと考えていた。それは二酸化炭素が適量である場合に限る。最近の科学誌「ネーチャー」の発表によれば、EUの科学者は熱波の影響が植物の成長を三分の一遅らせたと発表。イタリアでは、三六%の成長減退と発表。植物成長の減退もさることながら、生産性の退化と総体的減収は重大だ。気象の変化は、大気中の二酸化炭素が過剰かどうかに左右される。米国の農業試験場も、二酸化炭素が植物の成長を妨げることを確認した。
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 十五万頭の牧牛を所有する牧畜王サミル・ジュルバン氏が、さとうきびへ鞍替えした。サンパウロ州ナランジーバ郡にある同氏が所有する十一農場の一つ「ノーヴァ・ダマスコ」(九千四百ヘクタール)は、牧場からさとうきび畑に変身する。さとうきび栽培へ転向した理由は、地下高騰の割に牧畜の利益が少ないこと。牧畜の配当率は年一%に過ぎない。さとうきび栽培に農地を貸し出すと、五%の配当になる。コカール・グループが同氏の農場を借地した。同グループは同農場内にエタノール精製所も建設する。