2005年10月6日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙五日】過去十年間にサンパウロ市内のファベーラ(スラム街)が急増し、その波及は近隣都市にまで及んでいる。これら住民は個人所有の空地はもとより、市が指定している環境保全地区や緑化地帯にまで不法侵入している。
環境破壊や汚染の問題に加え、上下水道の未設備による衛生問題や、電線を無断で引き込んで不法配線による火災の危険性があることから、市当局の対応が求められている。
サンパウロ市内には近郊を中心に四十万戸の住宅があり、百六十万人が生活している。その面積は六〇平方キロに及ぶ。二〇〇三年から今年七月までに撮影された衛星による航空写真では、これら不法侵入はサンパウロ市近隣のオザスコ、グァルーリョス、サンベルナルド・ドカンポ、ジアデーマ、タボン・デ・セーラ、エンブーの各市の緑化地帯に及び、スザノ市では野菜畑も喰いつぶされている。
この総合面積はバルエリ市と匹敵し、サンカエターノ市の広さの四倍に相当する。いわゆる大サンパウロ市圏は総面積八〇五一平方キロ、三九の市、人口千九百万人だが、他州からの移民で年々増加傾向にある。このうち建築面積は二二六二平方キロで、緑化地帯は四六〇〇平方キロになっているが、ここ数年、緑が急速に失われている。
貯水池があり環境保全地区に指定されているセーラ・ダ・カンタレイラはもとより、ビリングス湖やグアピランガ湖の湖畔の緑化地帯では二百万人が不法に居住しており、年々それぞれ七%、三・五%の率で増加している。さらに地滑りなどの危険地区に指定されているモーロ・カイエイラ地区やフランシス・モラト地区でも居住者が増加している。
サンパウロ州都市開発局によると、サンパウロ州では一時間に三十人の割で人口が増加し、二十年後には二千三百万人に達するという。反面都心部では減少し、一九九〇年から二〇〇〇年までの十年間で十三万人減少し、とくにセー地区では十万人減少した。その一方で同時期シダーデ・チラデンテス地区は九万五千人の増加を見た。またこの地区での雇用は住民百人当り二十人と少なく、他地区に通勤するためバスは超満員で渋滞を招くという問題に直面している。