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コラム 樹海

 日本にも「一人一殺」というテロがあった。昭和7年の「血盟団事件」が有名であり、井上日召を盟主とし三井財閥の団琢磨と元蔵相である井上準之助が射殺されている。所謂―右翼の活動であったけれども、この蛮風によって一般の市民が被害を受けることはない。ところが、NYの9・11やイラクのテロは相手を選ばずに庶民を狙う悪質なものだ▼しかも、イスラム原理主義者のテロは世界に広がっている。バリ島でも自爆テロが起こり日本人を含む多くの犠牲者が出た。世界の観光地となっているバリ島では3年前の10月にも爆弾テロがあり豪州人88人や邦人2人など2002人が死亡するという惨事が起きている。実行犯は、イスラム地下組織ジェマ・イスラミア(JI)であった。逮捕された犯人のうち3人には死刑の判決があったけれども、JIの幹部は今も潜伏しており、テロの危機は続いている▼インドネシア政府は今回のテロもJIの犯行とし多数の容疑者を逮捕しているが、まだ犯人を特定できてはいない。日本の警察も爆発物と鑑識の専門家を派遣するなど支援しているのだが、原理主義集団の国際連携が強まっており捜査は難航している。JIは比やタイの過激派組織との繋がりを強化している事実も確認されている▼このようなテロの危機はアジアの難問であり、日本だけが安全は神話にすぎない。JIなどはアルカーイダとの関係も深く、地球規模でのテロと捉えるべきは論をまたない。テロの防止は一人一人の課題として取り組みたい。    (遯)

05/10/06