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乱発される租税法令=1日当たり36件=民政移管後、財政赤字解消で=税理士らに200億R$支出

2005年10月7日(金)

 【フォーリャ・デ・サンパウロ紙六日】ブラジルは世界でも冠たる税金王国として知られているが、民政に移管された一九八八年以降十七年間で国民は二兆六六〇〇億レアルの税金を払っている。この金額は今年の国内総生産(GDP)予想の一・三六倍に相当する驚異的数字だ。この期間内に発令された租税法令や条例は二十二万五千六百二十六件で、一日三十六件、一時間に一・五件の割合となることが調査で明るみに出た。この数字は法令のみでこれに加わる細則は数十万項目に上る。これを理解するために専門の税理士や計理士、弁護士が必要で、昨年は人件費が全国で二〇〇億レアルの支出となった。各企業ではこれら人件費のみで月額売上の一・五%から二%、税金支払用の金利で三・八%の金利負担を余儀なくされている。
 民政十七年目を迎えた五日を機にブラジル税制企画院(IBPT)がまとめたところによると、この期間に新しく設けられた税金は二十二万五千六百件余に上り、一日平均三十六件となる。このうち四件は連邦政府の発令だが、州が十一件、五千五百六十二都市による発令が二十一件で、赤字財政立て直しのため目まぐるしく税金の引き上げを行ってきたことになる。
 これらの法令には平均十一・二項目の条項がついているため、合計で二百五十三万四千条項となる。これらがさらに細かく分かれ単項が五百九十万四千項目、細則が千八百八十七万七千項目、例外や補足が二百四十八万三千項目を数えた。
 これらは朝令暮改の要素も多く、新旧交替も頻繁に行われ、現行では一万六千二百の税制で十八万千九百五十件の条項、四十二万三千九百四十件の単項、百三十五万五千件の細則、十七万八千三百十件の例外や補足の構成となっている。
 八八年以前は人口四千六百十五人に一件だった割合が、八九年以降は八百十五人に一件となり、五倍以上にはね上がった。IBPTの統計に対し、国庫庁では実態を把握していないとしてコメントを避けた。朝令暮改のごとく変更されるため、新税と旧税廃止は毎日目を通していなければ置き去りにされるので、専任の税理士や弁護士が不可欠となる。
 企業ではこのため総売上の一・五%から二%はこの分野の人件費として費やしている。この人件費に限り昨年は二〇〇億レアルの支出となった。またこれに伴い社員が複数必要で、他国に比べ、ブラジル企業の財経理部が頭でっかちになっている所似である。
 過去十七年間の税収は今年のGDP予想の約一・五倍に相当し、CPMF(通称小切手税)の向う八十八年間分に相当する。(今年のCPMF税収予想は三〇三億レアル)。IBPTの試算では八八年の時点での税収はGDPの二%どまりだったが、現行では三七・五%の高率となっている。民政になってから、新税と旧来の税率が上昇したのに反し、免税や減税といった国民の権利が失われて義務だけが押しつけられたと分析している。
 例えば前出のCPMFは九三年に一年の期限付きの暫定令として〇・二五%の税率でスタートしたのにもかかわらず、二〇〇一年には〇・三八%に引き上げられ、現在ではすっかり根づいてしまっている。また石油製品の輸入税は二〇〇二年に八〇億レアルの税収が今年は関税引き上げで三二一億三〇〇〇万レアルが見込まれている。
 さらに利益還元法(CSLL)は八八年に八%だったが、一二%に引き上げられ、二〇〇〇年に九%へと下がったものの、その代わりにサービス業は〇三年に三二%に引き上げられて減税分の見返りの措置を取られた。社会保険融資納付金(COFINS)は九二年に売上の二%だったのが、〇四年に売上にとどまらず総収入の七・六%へと驚くべき引き上げとなった。
 これに対し、ブラジル弁護士会(OAB)、サンパウロ州商業連盟、計理士協会などが一丸となって税制引き上げ阻止に立ち上がっており、今後各方面に働きかけ、活動を拡大していく方針を固めている。