2005年10月8日(土)
【エスタード・デ・サンパウロ紙七日】サンベルナルド・ド・カンポ市警察は六日、三年間にわたり車の架空販売で千人から計三〇〇〇万レアルを欺し取っていたグループをサンパウロ州ジュンジアイ市内で逮捕した。
一味は全国紙やインターネットに銀行の名で、市販価格より一〇%から一五%安い自家用車販売の宣伝広告をして、釣られて電話してきた相手を巧妙な役回りで信頼させて手付金を欺しとっていた。サンベルナルド・ド・カンポ市のGM販売代理店を受取場所と指定したケースが多かったことから、被害届を受けた同市警察が通話録音など内偵を重ねて検挙に至った。
警察は一味がジュンジアイ市のアパートで「営業」していることを電話の逆探で突き止め急行した。アパートの一室の戸口で電話を入れた所、「GM銀行です」との応答があったことで捜査員がドアを打ち破って突入、主犯と共犯の二人を現行犯逮捕した。二人は「銀行員」と似つかないTシャツとショーツ姿で勤務していた。
警察の調べによると一味は市価より一〇%から一五%の低価格で広告を出し、電話での問合せに工場から直接買ったから低価格だと説明し、銀行員が不動産を買うため緊急に売りに出したものと言葉巧みに誘い、銀行名の入った出荷伝票(ノッタ・フィスカル)をファックスで送信し、手付金を銀行口座に振り込ませていた。手付金は車種によって異なり、一万五〇〇〇レアルから九万レアルとなっていた。
電話は一日平均六十本かかり、このうち二人から六人が被害者として引っかかった。電話は固定電話から携帯電話に自動的に切り換えるようになっており、所在地と警察の目から逃れるようにしていた。電話の応対も銀行を思わせるべく巧妙に仕組まれ、主犯の男が一人三役の役回りをしていた。まず銀行員を装い、担当重役につなぐからとして秘書嬢が応対、ここで女性の声音を使っていた。最後に会議を終えたばかりの重役の「タカシ・ナガシマ氏」が登場して商談に入る。警察では男の「役者ぶり」に感心している。
一味は架空口座を開設するグループと宣伝広告を担当するグループに分かれ、サンパウロ州やパラナ州の異なった銀行で欺し取った金を換金していた。主犯はアルファビレ市に時価六〇万レアルの住宅とサントアンドレ市に同じく二〇万レアルのアパートと四台の高級車を所有していた。銀行口座には二〇万レアルの残高があった。警察ではこの種商談は必ず相手と対面し、品物を確かめた上で、書類はオリジナルを見ることを心がけるよう注意している。