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東洋紡ブラジル=設立50周年祝う=大阪本社から坂元社長迎え=今後バイオ事業に力=日系社会への貢献も強調

2005年10月8日(土)

 設立五十周年を迎えた紡績の東洋紡ブラジル(二宮徹社長)は日系向けの記念式典を五日、サンパウロ市イビラプエラ区のブルー・ツリーホテルで行なった。大阪本社から坂元龍三社長が出席したほか、サンパウロ総領事館の西林万寿夫総領事、商工会議所の田中信会頭、進出日系企業の駐在員ら約八十人が集まり、さらなる発展を祈願した。
 同社は一九五五年に本社百パーセント資本で設立され、綿紡績、織布の営業を開始。サンパウロ州内五事業所に約一千人の従業員を抱え、日系紡績企業八社の中ではトップの売り上げを誇る。
 半世紀の歴史の中で、染加工や、スポーツカジュアル、靴下、アクリル紡績の製造販売に着手した時期もあったが、現在は撤退。
 十代目になる二宮社長はあいさつで、「五十年の歴史の中では多角化がうまくいかなかったこともある」と振り返りながら、「夢は失っていない。今後は日本の技術を導入したバイオ事業(固体培養)に集中的に投資、拡大を図る」と新たな決意を語った。
 同社は今年も前年と同じ一億二千万レアルの売り上げを見込んでいる。繊維部門が九三パーセントを占め、バイオ部門は四パーセントにとどまるが、本社の坂元社長は式典で、同部門が占める割合を三年後に十パーセント程度まで引き上げる方針を明らかにした。
 坂元社長はまた、「六月に就任し、初めての海外出張が祝い事でうれしい」と述べたうえで、「紡績界はこれまで大きな波にもまれてきたが、東洋紡の設立に尽力した渋沢栄一氏が掲げた社訓『順理即裕』に従って乗り越えて行きたい」。
 さらに、戦後早い段階での進出企業の一つであることに触れ、「同社の設立のきっかけは七十年前にあった」と説明。一九三五年に日本の経済使節団がブラジルの綿花に目をつけ、翌年大阪に日伯綿花株式会社を設立した際の中心になっていたのが後の東洋紡会長関桂三氏だったと語った。
 一方、同社は日系社会に対しての貢献もアピール。社会福祉施設こどものその(井口信理事長)に毎年寄付を続けているとし、今年分はこの日の式典で、関係者に二万ドルを寄付した。
 また、丹下セツ子太鼓道場の太鼓演奏や日本舞踊が披露され、出席者を楽しませた。
 六日にはブラジル企業関係者や顧客を招待し行なわれた記念式典がヴィラ・オリンピア区のヴィア・フンシャルであり、約九百人が出席。人気ロックバンド、パララマス・ド・スセッソのショーも行われた。