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PT総裁選決選投票を実施=今週末までに結果=投票数は一次の約半数=党内分裂で広がるしらけ

2005年10月11日(火)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙九日、十日】労働者党(PT)の次期総裁を決める決選投票が九日、全国で一斉に行われた。結果は今週末までに出る見込み。総裁任期は二〇〇八年まで。ルーラ大統領が中心となり労働組合を基盤に旗上げして今年で二十五年を迎えた同党だが、党総裁を決定する決選投票が行われたのは党創立以来初めての出来事だ。相次ぐ党内の不正スキャンダルを受けて失脚したジェノイーノ元党首の後を受けて就任したジェンロ前党首も、党内のあつれきに屈して今回の出馬を取り止めるなど党始まって以来の不調整ぶりを露呈、これまでの一枚岩に亀裂が生じている。
 第一次投票で七人が立候補するという前代未聞の多数候補を出し、党内分裂をあからさまに露呈したことで象徴されるように、一般党員も興味をそがれたのか決選投票にも足が遠のいた。選挙管理委員会のまとめでは今回の投票数は十五万票で、九月十八日に行われた第一次投票の三十一万五千票の約半数にとどまった。
 決戦投票はベルゾイーニ下議とポンテ州議(リオ・グランデ・ド・スル州)で争われた。ベルゾイーニ下議は四十五歳でルーラ大統領らが結成した多数派グループに属し、下議当選二期目で、ルーラ政権で社会福祉相と労働相を歴任した。銀行労組委員長を経てPTサンパウロ支部の幹部を務めた。ジェノイーノ、ジェンロ両氏に次ぐ第三の人物として登場した。
 第一次投票では最有力といわれながらも十二万三千五百三十七票で四二%にとどまり、過半数に達せず不本意ながら決戦投票に駒を進めた。
 同下議は多数派グループの中でもルーラ大統領のシンパで、そのため大統領や閣僚らは公然と支持を表明し、来年の選挙の党参謀として期待を高めている。またスキャンダル渦中の疑惑議員とも親交が厚く、疑惑議員の議員権はく奪を避け、辞職させて来年の選挙での返り咲きを支援するという党決定を画策した中心人物。これによりジェンロ前党首と対立し、前党首が執行部から去る原因を作った。
 対立候補のポンテ州議は六十一歳で左派グループの社会民主派に属している。州議二期目だが、二年間補欠繰り上げで下議を務めた。また一九九七年から二〇〇〇年までポルト・アレグレ市長、九三年―九六年は前出のジェンロ市長の下で副市長だった。昨年の同市長選で一敗地にまみれ、十六年間続いた同市のPT政権の砦を失った。
 第一次投票では四万三千百九十票の一四・七%だったが、今回は他の左派グループの支持を取り付けており、ベルゾイーニ候補を脅かしている。政府の経済政策に批判的で、他党との連立政権を廃止し、PT単独路線を主張している。また疑惑議員の党公認候補に反対の立場を示している。
 選管によるとサンパウロ市内では二万一千人が投票し、即日開票の一万三六七票のうちベルゾイーニ候補が七千二百六票、ポンテ候補が二千五百六票となった。これについてポンテ候補は、サンパウロ市はベルゾイーニ候補の地盤で圧倒的勝利を予想していたにもかかわらず、意外にも善戦しているとして勝目があると述べた。
 第一次投票で棄権して批判を浴びたルーラ大統領は午後四時過ぎ、ブラジリア党本部で投票を済ませた。閑散としていた投票所は大統領の入場でにわかに活気づいた。