2005年10月12日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十一日】「国民は年々栄養価の低い食物を口にして体力が低下し、それが現代病と言われる病気の原因となっている」――保健省が過去三年間の食料に関する調査やデータを基に作成した食物ガイドで指摘した。
それによると過去三十年間でブラジル人の食生活は様変りして栄養摂取が年々減少している。例えば常食で定番となっているフェイジョンとご飯はプロテインが豊富で健康食の一つだが、飽食時代の波に押されて摂取が減少している。
フェイジョンは三十年間で消費が三〇%落ち込んだ。一九七四年から七五年までに一家族のスーパーでの買物額のうちフェイジョンの購入は八%を占めたが、二〇〇二年―〇三年では五・六八%に減少した。鉄分も多量に含まれているため、毎日大さじ一杯を食することを保健省は勧めている。
これに反し、体に悪い塩分、砂糖、脂肪分が多量に含まれているファストフードは倍増している。スーパーでの比率は七〇年代に一・二六%だったが現在は二・二九%となっている。アルコール飲料も倍増し、ソーセージやハム類は三倍、清涼飲料水は四倍になった。特記されているのが塩分の摂取量で、一九七五年で平均一日八・五グラムだったのが、二〇〇〇年では十五グラムに増えた。おススメは五グラム。
栄養の不均等な食事は国庫にも余分な支出を強いている。健康統一システム(SUS)の予算の七〇%に相当する一一〇億レアルは、肥満、糖尿病、高血圧、ガン、心臓疾患などの症状改善に当てられている。これらは食事をきちんと取ることで予防や治療が可能だ。またこれらが原因で毎年二十六万人が死亡しているが、これも防げるとしている。
同調査では、健康食は何かとの問いに全員が果物や野菜と答えており、知ってはいるが実践しない実態が明らかとなった。以前の定食といえば米とフェイジョン、ビフテキに卵焼きと野菜だったが、これにオレンジジュースが加わると理想的だと指摘している。つまり原点に戻るということだ。
卵は三十年前の一・一五%から〇・一八%に、野菜は一・一四%から〇・九二%に減少した。いっぽうで、肉が八・九六%から一三・一四%に、牛乳および乳製品が五・九三%から八・〇九%に、アルコール飲料が〇・三〇%から〇・六二%へと摂取が増えている。