2005年10月15日(土)
日本語学習者は日本のアニメが大好き──。JICA青年ボランティア有志が八月に、「アニメ・マンガ アンケート」(回答者数二百三十二人)を実施。調査結果が季刊誌「ア・クルツーラ・ジャポネース」(二〇〇五年九月、ブラジル日本語センター発行)に発表された。アニメの影響で日本に興味を持つ生徒が増えていることは、現場の教師誰しもが肌で感じている。これまでこのようにテーマを絞った調査はあまりみられなかった。教師の実感を数字で裏付ける形になっている。
調査の中心になったのは青年ボランティアの相澤紀子さん(ブラジル日本語センター)、長谷川豊さん(県連)、西田志穂さん(日伯文化連盟)。サンパウロ大学、日伯文化連盟、JICAのモデル校などにアンケート用紙を配った。
ブラジルでもブームになっている日本のアニメやマンガ。『ポケモン』や『ドラゴンボール』がテレビで放映され、今年は映画『ハウルの動く城』が公開された。身近になったアニメやマンガが日本語学習者にどれだけ影響を与えているのか、そして教材としても使えるのか。アンケートで探った。
「日本のアニメが好きですか」との質問に、九割が「はい」と回答した。どこが好きかについて、「デザイン」が最も多くて百八十四人。「登場人物」(百三十二人)、「ストーリー」(七十五人)と続いた。
人気マンガベスト10は一位『NARUTO』、二位『エヴァンゲリオン』、三位『ドランゴンボール』、四位『るろうに剣心』と『鋼の錬金術士』、六位『犬夜叉』と『フルーツ・バスケット』、九位『聖闘士星矢』、十位『ONE PIECE』と『幽遊白書』と『カードキャプター』。
関わり方は「テレビを見る」が一四七ポイントで最も多かった。「インターネットをする」が一〇四ポイントで、実施者の予想を越える数値だった。アニメをサイトからダウンロードして見ることが、一般的になっているようだ。
関心を引くのが「もしアニメやマンガを教材に使ったら、もっと勉強しますか」との質問。八九%が「はい」と答えた。既存の教科書にない刺激や面白さを得られ、通常習わない表現や言い回しを覚えられると期待しているようだ。
「ア・クルツーラ・ジャポネース」は調査結果に続けて、「Animanga」代表取締役の永田翼氏の特別インタビューを掲載。マンガを使った日本語授業などを紹介している。
日本語の学習目的(複数回答可)では、「仕事」が一〇九ポイントでトップだった。「アニメを見る」(八九ポイント)と「マンガを読む」(八〇ポイント)は、二位の「留学や研修」(九五ポイント)に並ぶほどのウエイトを占めている。両者を合わせると百六九ポイントに上り、大きな影響力を持っていることがうかがえる。
「親の勧め」は三七ポイントに留まった。長谷川さんは「日系人だから日本語を学ばなければというよりも、本人が自主的に日本語学校に通ってきているのでは」とみる。
相澤さんは「アニメ・マンガがきっかけで日本語を学び始めた人が、日本に対して違った見方をみつけていければよいと思う。このような学習者が継続して学習していけるような態勢づくりも必要になるかもしれません」と話している。
「ア・クルツーラ・ジャポネース」は無料。ブラジル日本語センターで手に入る。