2005年10月19日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十八日】口蹄疫の発生で内外から注目が集まっているマット・グロッソ・ド・スル州で十七日、新たに三牧場で口蹄疫の症状が出ている肉牛が見つかった。このうち一カ所は最初に口蹄疫が確認されたエルドラド市内のヴェゾーゾ牧場に隣接するジャンガダ牧場で、症状が出たのは九頭だが、当局は口蹄疫にほぼ間違いないとみて、他地域への感染を防ぐため飼育されている三百二十頭の処分を決めた。
このほかエルドラド市の隣りのジャポラン市にある二牧場でも疑いのある肉牛が見つかり、同地域では確実に伝染が広がっていると推測されている。政府はエルドラド市を中心に二十五キロの範囲に厳戒体制を敷き、人や動物の行き来を禁止しているが、ジャポラン市で発生したのを受けて、厳戒範囲をセッテ・ケーダス市とトゥクル市にも広げた。政府から派遣された百人の検査官が検査を行い、これまでに百七十二牧場を調べた。
これらの市では住民の半数以上が直接あるいは間接的に畜産に携わっており、一日に口蹄疫が確認されて以来、肉や乳、乳製品の販売が禁止されたため、とくに乳を販売して生計を立てている零細農家は日常の糧に困窮している。
エルドラド市にある三つの精肉工場はレイオフを決め、集団休暇を余儀なくされた二千人の従業員は失業の不安におののいている。トラックによる牛の運搬も禁止されたことから、同市の国道では十七日、トラックの運転手や工場の従業員らがトラックで国道を封鎖して抗議集会を開いた。
これまでに口蹄疫の疑いがもたれた牛の血液は、ペルナンブッコ州とパラー州の病理研究所で分析されているが、結果が出るには時間がかかるため、感染経路も割出せず対応が遅れている。これに対しルーラ大統領は訪問先のイタリアのローマで、口蹄疫は対応が取られて衛生管理下にあり、問題はないと発言して関係者の神経を逆なでした。同大統領は先にも、口蹄疫発生は飼育農家の管理に責任があって政府に落度はないと公言し、国内での反発を招いた。