「さくら」の美しいハーモニーにぞくっとして、歌っている子供たちの顔を見てみるとほとんどが非日系。一九六八年に始まったエコー児童合唱団だ。
「始めてから十年くらいは駐在員の子や二世ばかりだった」と創設者の吉田輝男先生。「『ハイ』と『センセイ』はそのときの名残ですよ」。
二世が親になってメンバーが変わってきたという。「集団の調和や単調な練習は、相当音楽が好きな親がついていないと続けられないようですね」。現在二十四人の生徒のうち日系人は少数。それまで日系というつながりで編成されていたコーラスが、音楽への興味で集まるようになったのである。
「いつかは日本に連れて行きたい」という吉田先生の願いに含まれた意味は、昔と今で違うのだろう。 (郁)
05/10/19