先日、京都の舞鶴港で戦後の引揚六十周年を記念する式典が開かれたというニュースを見た。舞鶴には戦後十三年間で六十六万人余が帰還したという。戦後六十年は引揚六十年でもあると、あらためて感じた。
取材先で、戦後外地から引揚げてきたという人と話す機会がある。満州だったり朝鮮半島だったりと、場所は色々だが、苦難の末に戻った日本から再び新たな大地を目指した当時の世相を思う。
先月訪れたモコカ市で会った男性も満州からの引揚者だった。少年時代に敗戦を迎え、一年間の避難生活の後に帰国、戦後再び一家でブラジルへ移住したのだという。
開拓初期の苦労を「避難生活に比べればね」と語る男性。移住当時は二十一歳だった。
引揚と移住。ドラマ「ハルとナツ」が描いた戦前移民の姿とは別の、これも移民史の一ページなのだと思う。(ま)
05/10/21