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最高裁=マルフ親子に仮釈放=40日ぶりに自宅へ=拘留期限切れ、体調悪化理由に=「このままでは死ぬかと…」

2005年10月22日(土)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十一日】連邦最高裁は二十日、サンパウロ市で連警に逮捕され拘留されていたパウロ・マルフ元サンパウロ市長を仮釈放とする判決を下した。同時に逮捕された元市長の長男にも同様仮釈放を命じた。元市長は公金横領ならびに金融法違反の容疑でサンパウロ市内連警本部に拘留されていたが、四十日ぶりに自宅に戻った。元市長は拘留期間中に体調を崩し、診療のために再三仮釈放を申請したが、ことごとく裁判所に却下された。今回の最高裁の判決はこれを加味した人身保護令を適用した。元市長らは今後在宅のまま取調べのため出頭に応じる。
 マルフ元市長は九月九日、市長時代の建設工事の水増し請求による公金横領と、資金洗浄や外為法違反などの金融法違反の容疑でサンパウロ州連警に逮捕され、サンパウロ市連警本部に身柄を拘留されて取調を受けていた。
 これまでにも元市長はスイスに不正口座所有などで追及を受けていたが、今回の逮捕はアメリカの金融機関に一億六〇〇〇万ドル強の不正預金を隠し持っていたことが発覚したもの。連警は一連の送金を行った為替業者の証言に基づき、アメリカのCIAの捜査報告書、元市長の通話の録音などから立件し、逮捕に踏み切った。元市長の長男でエルカテックス社長のフラビオ容疑者も共犯で同日逮捕され、親子で同じ屋根の下に拘留された。
 今回の連邦最高裁の判決は、連警が提出した一連の証拠に基づく拘留期限は切れ、新証拠や事実が証明されない以上、拘留延長は認められないことを前提条件とした上で、マルフ容疑者の体調が悪化していることを考慮すれば、人身保護令が適用されるとの判断に立った。最高裁では当初、フラビオ容疑者の弁護団が申請した仮保釈を審議していたが、証拠不十分との結論に達したことで、同罪であるマルフ容疑者にもこれを定義づけた。審議後、判事の表決が行われ、五対三の賛成多数で認められた。ジョビン最高裁長官も仮釈放に賛成の一票を投じた。
 マルフ容疑者は逮捕以来、四回にわたり保釈を申請している、うち三回は連邦地裁と高裁で、いずれも検察が主張した証拠いん滅と国外逃亡の可能性が認められ却下されている。最後の十月十八日には健康がすぐれず、市内民間病院での治療を理由に申請したが、これまた却下された。今回の連邦最高裁の判決は意外な形で受け止められたが、関係者はブラジルの法律、特に刑法は法の綱が複雑で判事により解釈が異ることがあり、別に驚く判決ではないとしている。
 ブラジリアからの第一報でフラビオ容疑者の保釈を伝えた弁護士にマルフ容疑者は「私は?」と問い返したという。続く第二報で吉報を知ると、涙を流さんばかりに感激し、「これまで祈ってくれた人々に感謝する」と述べたとのこと。さらにここ(留置所)の食べ物は自分の家では犬にも食べさせない物だとし、このままでは死ぬかと思ったと不満が口をついて出たという。
 親子は迎えの車で四十日ぶりにシャバに出て、自宅に向かった。自宅では家族、友人、政界関係者が出迎え、まるで無罪を勝ち取ったような喜びに溢れ夜半までフェスタが続いた。

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