近頃の日本の政治は変わってきた。自民党は保守派から革新系の集団までが共存する政党であったのに今や総裁と幹事長ら執行部が取り仕切る。もはや派閥の実力も脆弱になり昔のような力はない。閣僚人事も選挙での公認も首相と党の幹部らが決定する。派閥のボスに不満があっても、そんな小言に耳を傾けるご仁はもういない▼「数は力なり」の旧橋本派に―そんな典型を見る思いがする。橋本元首相は会長を辞任し、衆院選挙への出馬も辞退。1億円献金隠しとかがあっての事実上の「政界引退」に追い込まれている。旧橋本派には未だに後継会長もいなく、派閥として人事や政策に睨みをきかせる影響力もゼロに近い。旧亀井派もだし宏池会系のグループも同じようなものである。あるいは、もう派閥政治は姿を消したと見てもいい▼政党も大変化である。55年体制の社会党は凋落の一途であり、あの土井たか子さんも落選している。共産党の勢力も往年にはとても及ばない。細川護煕氏を首相にした「日本新党」や「さきがけ」「新進党」などがあったけれども、多くは自民党と民主党に合している。社会党の議員らも民主党に鞍替えし今も威勢のいい論争を続けているようだが、政界へのインパクトは弱い▼あの宮沢政権を倒した政変が、自民―社会党の対立構造を壊し、永田町の常識を破ったのは大きく、政治の動きも大変貌している。野党第1党の民主党も前原誠司代表になってから「外交」と「安保」の基本的な論点では自民党と近いし、このまま進めば2大政党の時代が来るかもしれない。(遯)
05/10/22