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公務員の出張手当を特別管理=下院=2年で10億R$突破=各省野放し、下院で歯止め=大統領と閣僚は出張が不可欠

2005年10月26日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十五日】アウド・レベロ下院議長はブラジリアで二十四日、公務員の出張に対する日当支払いを監視・管理する特別委員会を下院内に設置するとの意向を明らかにした。ルーラ政権が誕生して以来、二年十カ月で日当支払額が一〇億レアルを超えたことから「乱費」だと決めつけた。同議長は、各省が管理して節約に努めるべき筋合のものだが、現状はそれも望めそうにないことから下院で歯止めをかけるしかないとの見解を示した。この中で大統領や閣僚の出張はそれなりに効果が上がっており、非難する気は毛頭ないとも付け加えた。国庫監査役はカラ出張の疑いもあるとみて、調査することを明らかにした。野党筋は新たな政府攻撃材料に意気込んでいる。
 ルーラ政権に移行して以来現在までに公務員の出張手当の出費が一〇億四五〇〇万レアルに膨れ上がったのを受けて、レベロ下院議長は下院内に特別管理委員会を設置することを明らかにした。委員会には下院財務管理委員長と国税裁判長官も任命し、専門家の意見を聞くという。
 同議長は公務員の出張を大げさで公費乱用も甚だしいと決めつけ、本来なら各省が厳重に管理すべき筋合だが、各省は管理どころか実態も把握せず、野放しの状態になっていると指摘した。政府内で動かなければ下院が何らかの措置をとるとの態度を強調した。同議長は政策運営大臣時代に、この問題を指摘し、出張削減に努めた経緯があった。今でもその姿勢は崩さず、インターネットやファックスなどが普及している折に度重なる出張は必要ないと主張している。
 ただし大統領や閣僚は外交や通商に出張が不可欠との姿勢を示している。ただし、一〇億レアルの出張手当は今年の教育省予算の五倍で、雇用推進投資の四十四倍に匹敵することを考慮すべきだと強調している。
 これについて国税局は、公務員出張は慣例となっており、文書化した規則がないことから野放しになっていることは否定できないとした上で、カラ出張で日当をせしめたり個人旅行を公用として偽るなどの犯罪もまかり通っていると指摘している。しかし出張が数千件に上ることから人員不足のため調査は不可能で、立証は困難だとしている。
 アルバロ・ジアス上議(ブラジル社会民主党=PSDB)はこの問題は下院で徹底して追及すべきだとし、公務員とくに上級官吏は給料の上限額があるため出張手当でカバーしているとの見方をしている。またマイア下議(自由前線党=PFL)は、政府はブラジル株式会社という旅行代理店を経営しており、その恩典を受けている人物は少なくないと決めつけている。ベネジッタ元社会保障相が私用でアルゼンチンに旅行したのを公用と偽って経費を請求したのが発覚し、大臣を棒に振ったのは氷山の一角だとした。
 カルドゾ前政権時代の二〇〇一年は三億四三〇〇万レアル、二〇〇二年は三億九一〇〇万レアルが支払われた。現政権では今年一月から今月十九日までに三億二四〇〇万レアル、昨年は四億四〇〇万レアル、二〇〇三年は三億一七〇〇万レアルの出費となった。