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コラム 樹海

 「三十人の警官より、一人のサッカーコーチを手配すれば治安は向上するはずだ」。五千人からの市警を統括する大サンパウロ圏責任者、ネルソン・シウベイラ・ギマランエス氏は、デカセギの多い愛知県豊田市長と会談したおり、ブラジル人子弟への有効な対策を尋ねられ、そんな妙案を提案した▼〇三年十一月にJICAの警察研修で訪日し、二十一日間で東京、名古屋、京都、柏市などをまわった。銀座にある五星ホテルのレストランで、大好きな刺身二人前と天ぷらとビール二本を頼んだら二百五十ドルも請求され、「もうブラジルに帰ろうかと持った」と物価の高さを笑い飛ばす。中でも、ブラジルにはない名古屋駅下の広大な迷路、地下街には感銘を受けたという。「日本ではとても歓待された」と何度も繰り返す▼科学捜査研究所を見学し、頭蓋骨から生前の顔を復元する技術や、写真から顔の立体映像を作るテクノロジーをみて驚いた。「ブラジルにはこんな技術はない。でも、日本では件数自体が少ないから殺人事件の捜査経験があまりない。その点、こちらは経験が豊富だし、テクノロジーのない分、想像力を発揮して解決している」と違いを強調する▼大の日本びいきで、子息三男一女のうち二人が日系人と結婚した。このような親日派のブラジル人幹部のいる組織は、何かというときの対応が違ってくるだろう。知日派、親日派要人を増やす研修制度の重要さを改めて感じた。振り返って、日本にどれだけ親伯派要人がいるかと思うと、ちょっとさびしい感じがした。  (深)

05/10/26