2005年10月27日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十六日】ルーラ政権での過去二年間に公務員の出張手当が一〇億レアルを超えたことで、国会が特別委員会を設けて監視することになったが、国会議員の乱脈ぶりも明らかになった。この期間、下議の出張は八七九人に上り、一日平均一・四人が機上の人となった。費やした公費は約一億六〇〇〇万レアルで、上議と合わせると二億七〇〇万レアルに達した。日当は三五〇ドルで世の最低賃金生活者が引っくり返るような金額だ。出張者は各国の大使館や領事館に宿泊し、三度の食事と公用車つきで、手当てはしっかりと貯めこむのが実状。さらに私用を公用と称して手当てを請求していた議員も明らかとなり、出張管理のルーズさが浮き彫りとなった。
過去二年間に下議の出張は海外向けが五百三十九人、国内が三百四十人の計八百七十九人で、実働数七一四日とすると一日平均一・四人が国内空港から目的地に飛び立った計算となる。これに費やされた公費は下議で一億五九六〇万レアル、上議を合わせると二億七〇〇万レアルに上る。
内訳は、日当のみで下議の総額が二〇〇三年一六〇万レアル、〇四年一八〇万レアル、〇五年(十月十九日現在)一二〇万レアル、上議はそれぞれ一三〇万レアル、一三〇万レアル、七四万レアルだった。航空運賃に費やされた公費は下議でそれぞれ六二九〇万レアル、五七一〇万レアル、三五〇〇万レアル、上議では一六六〇万レアル、一六二〇万レアル、二四〇万レアルとなった。
現在農務省が口蹄疫発生で防疫用の予算が少ないと不満を表明したり、保安局が防犯対策の予算を要求したりして物議をかもしているが、出張費はどの部門よりも上回っている。目的地も〇三年は四十五人が海外へ、三十九人が国内だったが、〇四年にはそれぞれ二百八十五人と百八十七人に上り、今年はこれまで、それぞれ二百九人、百十四人と出張ラッシュが続いている。最も多い国はアメリカで、〇三年十一月から現在まで八十三議員が公用で訪れている。
問題は訪問目的だが、公用あるいは公式訪問と偽って、私的旅行と目されるのが少なくない。〇三年十一月にアイルランド共和国で捕鯨禁止世界大会に出席した二議員は、それぞれ七日間にわたる日当を手にしたが、ブラジルは捕鯨には関係ないと糾弾されている。
またビチンテ議員(ブラジル労働党=PTB)は〇四年二月にイタリアでのジュニア・サッカー選手権を観戦して、五日間の日当一七五〇ドルを受け取った。ランゾリン下議(自由前線党=PFL)は昨年のアテネ・オリンピックを観戦し、八日分の日当二八〇〇ドルを手中にした。
アレンカル下議(自由社会党=PSOL)は関連性のないキューバのハバナのブックフェア―に参加して一七五〇ドルを受取り、出張報告にはカストロ議長の賞讃の言葉を書き連ねて関係者の不興を買っている。極め付きはランデン下議(PFL)で、ローマ市視察と称して名所見学に明け暮れ、五日分の日当を手中にした。出張報告書には「愛するローマ」と題する自作の詩を書き綴って関係者を唖然とさせた。
一日三五〇ドルの日当も法外で、一カ月三〇〇レアルの最賃生活者にとってはやっかみの言葉も言いたくなるところだ。しかも議員らは大使、領事公邸を常習宿として、三度の食事に外出の折は運転手および警備員付きの公用車を乗り回すため、経費はかからず日当は丸々懐に入る。このシステムは軍政下時代の遺物で未だに慣例化している。
パリの大使館では入れ替わり訪れる議員らで、使用人は一日二度ベッドシーツを替えることもあるという。外務省ではこのため予算が底をつき上院に追加予算を申請したが、当然のごとく拒否された。