ロッテに惨敗を喫したトラには、あまり興味がなかったが、フーテンの方に最近はまっている。
正直、昔は嫌っていたといってもいい。人情、家族愛などの湿っぽい感じも苦手に感じたし、古典落語に通じるワンパターンさも見る気をなえさせた。
コロニアにいるせいか、年齢のせいか知らないが、典型日本を見ようと貸しビデオ屋で一本手に取ったのが運のつき。
七〇年代の風景、その日本語、もちろん啖呵など全てが新鮮で面白い。
ふと、亡くなった祖父を思い出した。封切りの『男はつらいよ』を見、駅ビルの銭湯に入り、たまの外食をするのが楽しみといった地味で真面目な人だった。
現在、八作目。残り四十本。見終わることができたら、中里介山の「大菩薩峠」に挑戦しようかと思っている。 (剛)
05/10/28