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「汚職は罪にならないのか」=国連、統計ない伯代表団にがく然

2005年11月4日(金)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十七日】「ブラジルでは汚職は罪にならないのか?」二十六日と二十七日にジュネーブで開かれた国連人権擁護委員会でメンバーの一人が発した言葉だ。
 同委員会は国連憲章で定められた各国の治安対策における人権擁護を監督、監視する立場にある。今回の委員会での討論に先立ちブラジルで行われた銃器販売禁止に関する国民投票で「ノン」の結果に至ったことで、政府の治安対策の不備が国民の不信となって表れた。
 これにより同委員会ではブラジルの治安対策をテーマにすることを決定していた。会議の冒頭でメンバーらは、これまでにブラジルでは何人が汚職で有罪となったかと質問に対し、ブラジル代表団はデータがないとして返答できなかった。代表団は起訴の事実、判決内容、人権に対する影響度の一切れの統計がないとして、今後これらのデータを取りまとめ、二〇〇八年には結果が出せると返答した。これに対し、メンバーから冒頭の言葉が発せられた。
 代表団はルーラ政権に移行して以来、千二百人が逮捕され、このうち八百十九人が政治象だったことをあきらかにしたが、裁判の結果などについては情報を把握していなかった。さらにブラジルにおける状況を長々と説明し始めたが、議長は「ここは討論の場で釈明や説明の場ではない」と、発言をさえぎった。
 委員会のメンバーの中にはブラジル代表団の無意味な発表に対し、文学書を開いて読みふける光景も見られた。傍聴した市民代表の一人は、代表団の発表を「子供だましの醜態」と決めつけ、人権擁護への治安対策に政府が本腰をいれないのは「選挙の票田にならないから」だと非難した。