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少年犯罪=深刻さ増す=昨年上回るペースで=在日ブラジル人=上半期統計=警察庁発表=薬事法違反が倍増

2005年11月4日(金)

 日本の警察庁は去る九月、平成十七年上半期の来日外国人犯罪統計を発表した。統計によると、上半期に日本国内で検挙された外国人のうち、ブラジル人は六百二十七人で、中国、韓国、フィリピンに続く四番目。検挙された犯罪の件数は三千六百九十九件で、中国に次いで二番目の高い水準となった。中でも少年犯罪におけるブラジル人の割合は高く、外国人少年総検挙者四百三十一人のうち百九十九人で全体の四六%。昨年を上回るペースで増加しており、日本におけるブラジル人少年の犯罪が依然深刻な状況にあることが浮き彫りになっている。
 今年五月に岐阜県で発生したブラジル人兄弟による拳銃強奪事件は、日本国内だけでなく、ここブラジルの日系社会にも衝撃をもたらした。デカセギをめぐる諸問題の中でも、在日ブラジル人が関わる犯罪は大きな問題の一つだ。
 上半期の来日外国人犯罪の検挙総数は二万三千三百六十三件で、昨年同時期より千百二十四件(四・六%)減少、検挙人数は一万八百六十人で三百五十八人(三・四%)増加した。
 件数、人数ともに最も多いのは中国国籍者で、件数が八千四百六十六件(〇・九%増)、人数は四千六百四十三人(三・八%増)。ブラジル国籍者による犯罪は三千六百九十九人で昨年同時期より一八・四%増加、検挙された人数は六百二十七人で六・三%増加している。
 内訳を見ると、大半は窃盗犯。このほか、覚せい剤や麻薬等の薬事法違反による検挙者が五十二人で、昨年同時期の二十八人から倍増。薬事法違反によるブラジル人の検挙件数は近年減少傾向にあるが、それでも昨年は九十九人に上り、それまで最も多かったイラン国籍者を抜いてトップになった。
 来日外国人の検挙件数は平成七年の二万四千三百七十四人から年々増加し、一作年に四万件を突破。昨年は四万七千百二十八件に上った。
 ブラジル国籍者による犯罪も増加を続けており、平成十六年は一昨年の四千八百十九件から七千二百八十一件へと激増。全体の約一五%を占めた。上半期の検挙件数も昨年同時期を五百人以上上回るペースで増加している。
依然高い少年犯罪
 統計からは、ブラジル人少年の関わる犯罪が依然深刻な状況にあることもうかがえる。
 今年上半期に日本国内で検挙された外国人少年は四百三十一人。検挙件数は六百六十五人に上った。
 検挙者数のうちブラジル国籍者は百九十九人で、全体の四六・二%。検挙件数では三百八十件と五七・一%を占める。件数は昨年同時期より約百件減少したが、人数は四十人と約二五%増加。二番目の中国(検挙者数六十六人、検挙件数七十四人)と比べても格段に多く、依然として高い状況にある。
 地域別に見ると、全体では中部地方(二百六十四件)、関東地方(二百一件)に集中。中でも中部地方におけるブラジル人の検挙件数は顕著で、同地域全体の九割近く、二百三十六件をブラジル人少年による犯罪が占める。
 来日外国人少年の刑法犯検挙件数平成九年に年間一千件、十一年に二千件を突破して以降、一昨年までは年間千九百件程度で推移していたが、昨年は千五百三十二件と減少した。
 ブラジル人少年の犯罪は平成七年の百三十二件から年々増加。十一年のピーク時には年間千四百九十二件を数えた。昨年の検挙件数は八百八十七人。検挙人数は三百五十四人に上る。
 全体における割合は平成八年以降、現在までトップの位置を占めている。