2005年11月5日(土)
【エスタード・デ・サンパウロ四日】労働者党(PT)の不正資金を追及している議会調査委員会(CPI)は、郵便局汚職疑惑に絡み、ブラジル銀行(伯銀)の融資の一部が同党に横流しされていたことを明らかにした。
CPIでは今後、伯銀関係者を証人喚問して追及していく方針を固めたが、国庫の公金が一政党に流れたことは未曽有のことで、CPI設置以来かつてない重要事実の露見で各方面に衝撃が走っている。これに対する伯銀ひいては政府の対応が注目されている。
CPIメンバーのセラブリオ下議(ブラジル民主運動党=PMDB)が三日に提出した調査報告書によると、伯銀の融資金のうち、一〇〇〇万レアルがPTの裏金として入金されたという。この裏金は、一連のスキャンダルで資金操作の渦中人物とされているミナス・ジェライス州で広告代理店を経営するヴァレーリオ氏の手を経て横流しされたと指摘され、伯銀側も裏決済で処理している可能性があるため、公金不正融資ならびに不正操作で調査するとの意向を示している。
CPIの調査では、伯銀とブラデスコ銀行が有力株主となっているクレジットカード「ビザ」を発行しているビザネット社に対し、拡販キャンペーンの実施に際し、伯銀は二〇〇三年に二三三〇万レアルの融資を決め、前倒しで貸与した。その折キャンペーンの広告業務をヴァレーリオ氏の経営するDNA広告代理店を専属として指名した。
その後、伯銀は〇四年に三五〇〇万レアルを追加融資した。これらの融資はキャンペーンの活動資金として全てDNAの口座に振り込まれた。ヴァレーリオ氏はこのうち一〇〇〇万レアルをミナス銀行の口座に移し、時のPT財務担当のソアレス氏に手渡したという。
残りの融資はDNAの名目で伯銀の投資運用に回されており、キャンペーン活動は一切行われていない。このことからCPIは、この融資は裏金を目的とした不正融資で、さらにキャンペーン活動資金としての明細もなく、裏決済した不正操作の疑いがあると指摘している。
伯銀では、当時のマーケティング担当重役ピザラト氏の一存で決定したもので、今年に入って融資の追跡調査を行っており、回収につとめていると言明している。ピザラト氏は別件の不正疑惑によりすでに解任されている。CPIでは同氏を含む四人の伯銀幹部を証人として喚問する意向を示している。