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コラム 樹海

 11月3日は「文化の日」で列島は多彩なイベントが繰り広げられる。秋の叙勲もあり華々しい舞台が演出されるし賑やかな祭り気分に浸れる。この日の東京は晴天で秋空は澄み切った青色だったようだが、皇居では文化勲章の親授式があり「放浪記」を演じる女優・森光子さんや名医・日野原重明氏ら5人に天皇陛下から勲章を手渡され感激の面持ちだったと外電は伝える▼NHKの「ハルとナツ」に出演しコロニアでも人気の高い森光子さんだが、若い頃には大変な苦労もしている。そんな苦しい暮らしが芸を育てたし、傘寿を超した今でも身は軽く見事なばかりの演技で観衆を引付けてやまない。文化勲章が創設されたのは昭和12年のことだが、このときには幸田露伴や金属物理の本多光太郎らが栄誉に輝いた。以後―現在まで続くのだが、女性の受章者は真に少ない▼最初の受賞は日本画の上村松園であり続いて小説作家の野上弥生子。日本画の名手・小倉遊亀や作家の円地文子、画家の片岡球子などを数えるに過ぎない。新劇の杉村春子は「何かてっぺんに上ったような気になっていやだから―」と文化勲章を丁寧に断り辞退している。そして―演劇人として初めての名誉を手にしたのが庶民派・森光子さんである▼薄いブルーの和服で晴れの舞台に臨んだ森光子さんの写真をインターネットで見ると若々しくて美しい。この文化勲章を好機にして益々の芸を期待したい。それと一つ付け加えれば、勲章も男性優先の傾向が強いけれども、ここは女性重視へと大きく舵取りしてもらいたい。   (遯)

05/11/5