2005年11月10日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙九日】ジウマ・ロウセフ官房長官は八日、予算管理省が起草した緊縮財政の長期計画が内容ずさんで打診もないと批判した。同計画は公式に大統領府と打ち合わせが行われていないが、ベルナルド予算管理相の案は公共経費を五年間にわたり削減し、基礎収支の黒字と基本金利の引き下げを図るというもの。健全な長期財政計画を経済理論と机上の計画に基づき立案するのは適切でないと同官房長官が警告した。緊縮財政を旗印とする政府内で、自分は一人独走しているのではなく、一部無能閣僚が政策を立案するのは徒労であると指摘した。
もしも十年計画を立案するなら、ブラジルに居住する一億八千万人の〃ロシア系移民〃にも事前相談するべきだと、ガリンシャ選手の名句を官房長官が引用した。五八年のW杯サッカーでブラジルはロシアと対戦、ルールを事前に打ち合わせた。バカ正直のガリンシャ選手は、必殺ワザも事前相談すべきかと聞いた。
予算管理相は四日、五年以上にわたる長期間の財政黒字四・二五%目標を打ち出した。目的は基本金利の引き下げとインフラ投資の促進であった。
官房長官は、予算管理省の同計画を夢想とこきおろし、次のように述べた。パロッシ財務相から報告があった緊縮財政計画は、各省庁へ打診し順序を踏むべきであった。原案は粗雑で一貫性がなく、議論の対象にもならない。ブラジルの課題は債務削減であって、経費削減ではない。
債務削減のためには、周到な金利政策が必要である。それがないと、氷から水を絞るようなもの。基礎収支の黒字を図る一方で、外貨準備を増やし債務膨張の流れを止めるべきだ。
緊縮財政計画は予算管理省の机の上で数字をいじるのでなく、不安定なブラジルの経済情勢からみて適切かを官房室で検討しながら行うもの。予算管理省案は、マクロ政策の見地がない拙劣な計画である。
十年計画の立案なら、目標は経済の安定ではなく発展である。安定と発展の展望は次元が異なる。発展に向けた急務は、まず国道の整備と進行中の工事完成。陸路や鉄道、水路、港湾などのインフラ整備。ブラジルは国土の割合には道路網が貧弱である。
急務はさらに、灌漑用水の確保と貯水池の造成。地球温暖化現象と異常気象が農業生産を脅かしている。計画は十五万の貯水池造成であるが、現状は十万足らずに過ぎない。他に口蹄疫研究所と刑務所の建設。
ブラジルに必要なのは、財政黒字のための経費削減ではなく、予算の有効活用だ。一部閣僚は有効活用を理解していない。予算の有効活用とは節約であり、そこには技術が要求される。予算は散財でも交付でもなく、予算充当の成果が求められるもの。
予算浪費の極道息子は、社会保障院である。しかし、雪だるま式の累積赤字は止まった。暫定令二五八号により社会保障負担金と税収を合流させたためである。税金の徴収システムも改善された。ひんぱんに年金受給者の再登録を義務付けることで、違法取得者の摘発が可能になった。