2005年11月10日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙九日】ルーラ大統領が七日に行ったテレビ番組のインタビューでの発言をめぐって、野党側から猛烈な反発が湧き上がっている。野党の過激派からは「愚か者」「嘘つき」「卑怯者」などの罵声が飛び出す始末だった。
これを受けてカルドーゾ前大統領はラジオCBNのインタビューで、ルーラ大統領はこれまでスキャンダルに関しては一切関知していないとシラを切っていたが、全容を把握していたことを告白したことになり、捜査で一連の疑惑議員や労働者党(PT)がクロと断定された場合は罪を被ることになり、デリケートな立場に追い込まれることになるとの認識を示した。
さらに、PTや党議員に対する告発や政治的背景による根も葉もないでっち上げが多過ぎるとルーラ大統領が行った告発に対しては、PTが野党時代にはこれを上回る告発をしておきながら捜査や調査を一度たりともしなかったとした上で、受身に回っての護身は潔くないと強調した。
また、次期大統領選挙の出馬について言を濁しているが、PT内では他の人材がいないことは自他共に認めているはずで、対立候補を牽制する愚かな動きはやめて、堂々と立候補宣言をするべきだとも語った。
一方で、交付金支給の陳情のためにアウキミンサンパウロ州知事とともに国会を訪れたセーラサンパウロ市長は記者団に対し、「メンサロン(裏金)は国会の壁までが知っている事実で、ジタバタしてもしょうがない」とコメントした。アウキミン知事は次期大統領選に出馬するなら全ての問題を一掃し、最良の政権を印象づけるべきだとして、「ブラジルの発見者」がカブラルではなく、自分(ルーラ)だと印象づける言動は好ましくないと決めつけた。
野党議員からも痛烈な非難の声が上がっている、ヴィルジーリオ上議(ブラジル社会民主党=PSDB)は、ルーラ大統領は七月にフランスのテレビ局とのインタビューで裏金について、ブラジルでは慣例化しており、PTもそれに従ったまでだと裏金の存在を認めておきながら、今になって否定するのはおかしいと指摘している。また裏金について関知しないとしているのは、卑怯以外のなにものでもないと強調している。
マガリャンエス上議(自由前線党=PFL)はキューバからの三〇〇万ドルの裏金について、ルーラ大統領が貧しいキューバがそれ程の大金を工面するはずがないと告発したことに対し、本質から外れた発言で、キューバを誹謗したと非難している。