2005年11月10日(木)
国際交流基金サンパウロ日本文化センターにこのほど、新しい日本語事業主幹として浦祐一氏が着任、前主幹の阿部尚久氏とともに本紙を訪れた。
浦さんは今年七月まで財務省に勤務。省庁間交流の一環として東京の国際交流基金本部へ出向し、このたびサンパウロに赴任した。
財務省では主に予算関係の部署についていたため、実際に事業を実施する現場での仕事は初めてだという。「海外での事業実施の状況を日本の国民に良く知ってもらうことが必要だと思う」と語り「いろいろ勉強して少しでも役に立ちたい」と抱負を語った。
浦氏の着任を受け、阿部氏は基金サンパウロ事務所に新たに設置された「日本研究・知的交流事業」の主幹に異動する。
同部門は、東京の基金本部が二〇〇三年の独立行政法人化にともなって事業を「文化芸術交流」「海外における日本語教育」「日本研究・知的交流」の三つに再編成したことにあわせて設置されたもの。
今後は各種のシンポジウム開催や、ブラジルにおける日本研究者の育成、交流などにあたる。阿部さんが具体的な事業の一つとして挙げるのが、日本に関する研究書の発行だ。
マンガやアニメなど、ここブラジルでも一部の日本文化は大きな人気がある。しかし実際のところ、歴史や美術など多くの分野でポルトガル語の日本研究書は少なく、日本研究に携わる人も少ないのが現状だという。
阿部氏は「日本についての基本的な本を出すことが、ブラジルに日本の知識を増やし、正確な認識をもってもらうことにつながる」と説明、「日系だけでなくブラジル社会にも日本研究が広がれば」と語る。
あわせて日本に関する情報のデータベースなど基盤の整備を進め、日本研究者の育成につなげていきたいとしている。