2005年11月11日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十日】最高裁は九日、ロシア金融危機で荒れたカルドーゾ第一期政権の九八年に制定された社会統合基金(PIS)と社会保険融資負担金(Cofins)の増税法を違憲とする判決を下した。同増税は二六八億レアルの税収増を国庫にもたらしていたので、政府はこの判決で大口財源を失ったことになる。多くの企業は増税分の納税義務免除を申請し仮処分を受けていたが、納税した分は償還される。償還は次回納税から差し引き決済か返還請求となる。また輸出品の工業製品税(IPI)に対するプレミアム・クレジットは、連邦最高裁が取り下げた。
Cofinsの二%から三%への増税とPISの課税対象拡大を最高裁は六票対四票で違憲と裁決した。同増税を制定した法令九七一八号は、徴税方式に誤りがあると判断された。連邦令に補足令の追加を容認する法令は、同令が制定された二十日後に発令された。
償還対象となるのは、一九九九年から二〇〇一年のPISと九九年から〇二年に納税されたCofins。最高裁の同判決は、政府に少なからぬショックを与えたが、産業界は安堵の思いで受け止めた。
納税義務の免除申請を行わなかった企業は、過去五年間に納めた同税の見直し申請を行う必要がある。最高裁の判断では徴税方式の変更が補足令の容認前に行われたため、納税義務もなかったという。
一方で政府は、連邦最高裁の工業製品税(IPI)訴訟で勝訴を得た。企業は八三年六月に廃止となった輸出奨励金に代わるIPIプレミアム・クレジットを求めた。信用対象は、工場で生産される輸出品に課税するIPIであった。
試算すると、このクレジットは年間五〇億レアルとなる。過去二年間の累計では一五〇億レアルとなった。連邦最高裁は企業側のクレジット請求を取り下げ、政府の提訴を五対三票で容認した。
連邦最高裁に提訴し敗訴となったのは、ブラジリアに本社を置くセレクタ木材会社だった。同判決は今の所、同社のみに適用されるとみられる。裁判の様子を注視していた同様のケースへの見せしめでもあるようだ。連邦最高裁へ提訴した同ケースは千五百件ある。過去二年間、クレジット供与の仮処分が下された企業も多い。
財務省のブランドン代理人は、今回のクレジット取り下げ判決の追い風で、供与仮処分の無効化に挑戦する考えだ。クレジット供与を受けた企業は、その他の税金から差し引けるので営業活動に有利である。
輸出企業の代表弁護士ブリョンエス氏は連邦最高裁が過去十五年間、IPIクレジットに友好的であったが、態度を急変させたと述べた。連邦最高裁は輸出業者が領土を拡大し、司法が譲歩してきたのは誤りだったという。この提訴は国税庁の税収獲得合戦らしい。
プレミアム・クレジットは六九年、輸出奨励のため法令四九一号を以って制定された。それが補助金制度の廃止を呼びかける外国の圧力により七九年に代替法を制定し、八三年までに暫時廃止とした。しかしその後、内容が曖昧な輸出奨励法が次々と発令されていた。