2005年11月11日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙六日】発覚から半年が経過した一連の国会スキャンダルは現在も政界を揺るがしているが、政局混乱が消費者心理を左右し、購買意欲の低下の原因となっている。サンパウロ州商業連盟が消費者の購買力を調査する消費者信用指数(ICC)は過去二十年間で最低を示し、十月度は一九九四年以来の平均度を下回った。これを受けて商店筋は近年にない「暗いクリスマス」を想定し、例年よりも早い年末商戦に取り組み始めた。
サンパウロ州商業連盟の分析によると、労働者党(PT)の不正資金、いわゆるメンサロン疑惑の不信感が国民に広まり、購買意欲の低下につながっている。経済成長、一般所得、失業は許容範囲内で推移しているにもかかわらず、購買力の低下が顕著なのはその所似だという。同連盟が独自の方法でとりまとめる消費者信用指数はゼロから二〇〇ポイントが算出され、一〇〇ポイントを境にして上はポジティブ、下はマイナス要素となる。
十月度の指数は一〇八・四四ポイントとなりマイナスの最悪事態は免れたものの、二〇〇三年十月以来、過去二年間で最低となった。また一九九四年七月以来の毎月の平均指数より二ポイント下回るという悪い数字となった。
これを受けて同連盟は、今年のクリスマスにかけての年末商戦は熱い商戦は期待できず、ぬるま湯加減になると見ている。このため今年半ばに設定した昨年対比三・五%の売上予測を、横ばい内至は若干の上昇とする下方修正に向けて見直しを行っている。
また商品別では、家具や電化製品は避け、衣料や靴など安価なファッション製品に集中するとみている、さらにショッピングよりもスーパーの割引商品が人気を呼ぶと見る向きもある。
各商店も不安を隠しておらず、一足速いクリスマスセールを開始して購買意欲を高めるべく注力し始めた。サンパウロ市の有名商店街の一つ、ファリア・リマ大通りとガブリエル・モンテイロ街の一角は早くもクリスマスの飾りつけを終え、サンタさんを登場させて十三カ月給料での購買を狙っている。
カーザ・バイーアは例年末にアニェンビ展示場で開店する特売店を今年は十日早い十一月二十日に営業開始させる。同店では年内に開店して七十四店で昨年比十五%の売上増を予想していたが、ハード製品の販売落込みで昨年の横ばいに下方修正した。ロージャス・センも例年十一月下旬に飾りつけをするが、今年は一日に終えた。
国会スキャンダルで落ち込んでいる消費者の気分を高揚するのが狙いだとしている。同店は昨年比二〇%増を見込んでいたが、今搬一〇%へと下方修正した。家具販売を主体とするマラブラスは二日から、最高七〇%割引の在庫セールを始めた。さらに支払方法も大幅に緩和した。セールは通常クリスマス後に行われるが、これまた一足先の実行となった。
購買力の低下に伴い、中銀の基本金利の(SELIC)の引き下げ気運から小売筋は製品の買い注文を控えている。このためメーカーは不良在庫を避けるため生産プランとにらめっこしている。メーカーは年末商品の値上げを画策していたが、状況にそぐわないとして価格の据置きを決定したのが大半を占めている。消費者にとって値上げが少ないことが朗報となっている。