2005年11月11日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙六日】アマゾン地方のパラー州カラジャス市内が今、険悪な事態に陥っている。同市近郊に居住している約八百人のインジオらが市内中心部の広場に終結し、抗議集会を開いてキャンプ生活を始めた。
抗議は同市のマンセス企業、鉱石採掘会社バレ・ド・リオ・ドーセ社に向けられたもので、同市内に住む五十人の従業員とその家族も威嚇され、戦々恐々の日々を送っている。
インジオらは同社が来年度の支援金の予算を削減したことに不満の意を表し、採掘の妨害と従業員らに危害を加えることも辞さないとの脅迫を行い、支援金の増額を要求している。そもそも同社は国有会社として発足、採掘場が国の定めにインジオ居住区だったため、国が採掘権として一定金額を保証金として、インジオ保護財団(Funai)を通じて支払っていた。
同社は一九九九年に民営化され現在の会社に移行したが、支援金は続けられ、一九九九年には立法化され支払いを義務付けられた。しかしこの法令も一定の期間をもって期限切れとなり、今は廃止となっている、にもかかわらず同社は慣例化したことで、支援金を継続させた。
同社は昨年の利益が二五億ドルに達するマンモス企業に発展、今年の支援金は三つの部落に対し一九〇〇万レアルに膨れ上がった。これはFunaiの年間予算の二〇%を上回る数字だ。これに対し同社は、今年の経済不況による経営体賃改善のため来年度の支援金の削減を発表した。これに激怒したインジオらが実力行使に出た。
同社は全国紙に半ページ大の社告を掲載し、「支援金はあくまでもボランティア精神に基づいて行われているもので、当局の対応を求める」と訴えた。さらに同社筋はインジオ側から支援金の明細について一切説明が行われておらず、調査では教育、保健、環境整備に投資された形跡がないと指摘している。また、いたずらに豊食に走ってぜいたく品を買い漁り、高級乗用車や空のタクシーを使用するなど浪費に明け暮れていると非難している。
同市の商業連盟でもこの事実を認識しており、インジオらがツケで購入して不払いとなっているものは六〇万レアルに上っているとして、今後はツケでの販売を拒否する姿勢を見せている。ある部落では高級乗用車の購入代金の支払いをバーレ社に回すよう求めたという。当然同社では支払いを拒否した。
さらにぜいたくは豊食時代を反映し、インジオらはファストフードやビスケット、甘いお菓子を食べ始めたことで、五年前には見られなかった糖尿病や高コレステロールの現代病に冒されている。しかし、いっぽうで向学心が芽生え、大学を卒業する子供も増加している。
インジオ居住地の近隣の町がインジオらの散財で潤っているのは事実で、ブラジル語の読み書きができないインジオらをだまして法外な値段で売りつける悪徳商人もおり、「インジオをだます白人が増えた」と抗議している。