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大統領、内輪もめ戒める=官房長官と財務相=野党の罠にはまるだけ=溺れる犬を叩いた長官

2005年11月12日(土)

 【フォーリャ・デ・サンパウロ紙十一日】ルーラ大統領は十日、経済政策を巡って交戦中のロウセフ官房長官とパロッシ財務相を招き、訓戒を垂れた。閣僚は団結し、マスコミに話題を提供するような言動を慎むよう要請した。批判の応酬は、パロッシ財務相が官房長官の経済政策批判を大統領に抗議したことから始まった。財務相は現職に留まることがブラジルのために是か非かを大統領に打診した。官房長官はブラジル民主運動党(PMDB)との晩餐会で、財務相が対話と独創性に乏しく財政黒字しか頭にないと批判した。アレンカール副大統領も同調した。
 大統領はマスコミへの話題提供を戒め、官房長官と財務相の政策論争を治めようとした。財務相の周辺がビンゴCPI(議会調査委員会)追及の的となり、微妙な立場にある財務相にとって、官房長官の経済政策批判は溺れる犬を叩く結果となった。
 大統領が執務室に両閣僚を招いて錠を下ろし、バストス法相以外は席を外させた。席上、大統領は官房長官の経済政策批判を承認しない意向を表明。その後、メルカダンテ上議とベルゾーイニ党首を呼んだ。
 労働者党(PT)政権の発足以来、官房室は財務省にとって目の上のたんこぶであった。ロウセフ官房長官に交代した後も、官房室はたんこぶのままだった。
 大統領と側近は、官房長官が財務相ほど政治経験がないため、閣議で過激発言が出るとみていた。財務相派の閣僚に対しても、官房長官は辛らつであった。大統領は個人的に官房長官の熱血漢振りと政治姿勢を評価している。ただ、内輪もめの外部への持ち出しをけん制した。暴露は間接的に官房長官の勢力拡大につながるが、政府は迷惑だという。
 大統領は、閣僚間の水かけ論争を極力戒めた。財務省を後ろ盾に予算管理省が打ち出した長期財政計画に対し、氷を絞るようなことをして公共債務は減らないと官房長官が酷評。その反響は大きかった。財務相は同批判を御法度破りだと、官房長官に直接苦言を呈した。
 メルカダンテ上議は、現時点での経済政策論争は財務相下ろしで奔走する野党の罠にはまると警告した。経済の安定か発展かは永遠の課題であり、なぜ今争うのかという。
 一方、労組連合は十日、パロッシ財務相の辞任を要求する声明を発表した。リベイロン・プレット市長時代のリベート疑惑で上院のみで証言を行うとCPIの証言を拒んでいる財務相に対し、政府の最高幹部として即時辞任が潔いとした。財務相が経済記事ではなく犯罪記事の主人公となるのは、投資家に最悪の見本を提示するという。
 アレンカール副大統領は、パロッシ財務相の経済政策を誤りとする官房長官の主張に同調した。副大統領は、事業家として人生経験者として、官房長官の言い分が正論だという。財政責任法は財政無責任法であるとした。分不相応な公共債務の元凶は基本金利が原因。その基本金利を放置して財政黒字といっても本末転倒だと副大統領は批判した。その財政政策を巡って政府内は二分の気配が濃厚となった。