2005年11月15日(火)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙十四日】パロッシ財務相の失脚がブラジルにとって自殺行為だとするルーラ大統領は十三日、同相の経済政策続行のため野党へ休戦を呼びかける意向を明らかにした。パロッシ財務相は、リベイロン・プレット市長時代の不正疑惑関与を巡って告発の標的となっていた。さらに経済政策を巡ってインフラへの予算編成で、ロウセフ官房長官から辛らつな批判を受けていた。すでに大統領側近は野党PSDB(民主社会党)と休戦交渉で接触、同相をCPI(議会調査委員会)の矛先から退ける取引を行っている。反パロッシ派は党内にもあり、追及の手は緩めていない。
九日から三度も進退伺いを出した同相の引き止めで、大統領は家族ぐるみでカルドーゾ前大統領やセーラサンパウロ市長その他、主だった野党の酋長らを招き、休戦懐柔策を模索中である。
財務相を引き止める呼びかけは今週、最初の式典で行う。先ずブラジル経済におけるパロッシ財務相の功績を称え、その離任は経済不安を招くというもの。財務相は今、三方から攻められている。元側近らによる不正疑惑関与とロウセフ官房長官の政策批判、野党連合の攻撃である。
財務相の離任は大統領の不本意であるが、政治的駆け引きで失脚の可能性はある。四面楚歌の中で精神的苦痛から体力を消耗し権限の弱体化を以って、財務相が退路へ追い込まれることもある。その場合、しばらく反パロッシ節が止み、親パロッシ派へ豹変したメルカダンテ上議の起用もあると考えられる。
政界の舞台裏では,与党と野党のCPIに歯止めをかける水面下取引が活発だ。財務相の失脚で経済が停滞する〇六年、次期政権を引き継ぐのは不利であると、サンパウロ市長は見ている。
財務相失脚は、ルーラ大統領再選阻止へ向けたボディ・ブローだという予算管理相の見方。野党は、次期大統領選で勝つためにブラジル経済に爆弾を落し、混乱させる狙いがある。官房長官には、財務相追放の理由が全くないと、予算管理相は判断をした。
議会を追われたジェフェルソン元下議はマット・グロッソ遊説中、財務相は裏金の存在を百も承知であったと述べた。足跡さえ残さなければ、何をしてもよいシステムの中で潔白のはずがない。財務相に手を出さなかったのは、政友や企業家らの要請で経済安定を優先したからだという。
ジルセウ前官房長官とグシケン前広報長官、パロッシ財務相は、ルーラ大統領を泥沼から守る三銃士であった。大統領の趣味は飛行機で遊んで歩くことで、労働など熱が入らなかったから指を失ったのだと、元下議は皮肉った。
一方、休戦協定の打診を受けたPFL(自由前線党)は、財務相のビンゴCPIへの召喚で譲歩しないと、アントニオ・C・マガリャンエス上議が述べた。カリェイロ上院議長も、上院経済諮問委員会と上院CPIで財務相の疑惑関与告発に対する説明を求めた。疑惑告発はリベイロン・プレット市長時代のものが大部分だが、財務省入り後の側近らによる権限の乱用疑惑も出番を待っている。