2005年11月15日(火)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十二日】サンパウロ市の環状線のマルジテルピオネイロス大通りで十一日午前八時十五分、エンジンが故障して不時着を試みたヘリコプターが車道に墜落するという事故が発生した。
折しも久方振りの連休の前日で行楽に出かけるために早めに用事をすませようとする人々と朝の通勤ラッシュが重なって、大通りは通常より車の数が多かったが、パイロットの冷静な操縦さばきで、間一髪のところで大惨事を免れた。ヘリのパイロットと搭乗者の二人は打身のみで大事に至らなかった。走行中の車二台がプロペラに当り損傷したものの運転手らにケガはなかったが、思わぬ空からの落し物に肝を冷やした。この事故で大通りは三時間にわたり通行止めとなったため、渋滞は一〇六キロに及んだ。通常の最高は五七キロだった。さらに迂回する車で近隣の街路も混雑したヘリコプターはラジオ。エルドラド局が朝の交通情報を流すためにチャーターしたもので、ピオネイロス区上空でエンジンが故障した。パイロットは最寄りのヘリポートに向かおうとしたが、失速したため、とっさの判断で同大通りへの不時着を敢行した。パイロットによると、先方に見えたエウゼビオ・マトゾ橋の上に不時着を試みたが、失速で機体が浮き上がらず。ピオネイロス川に突っ込む以外方法がないと考えたが、そうなるとそうなると乗員二人がケガどころか市の危険がともなうことから、大通りへの不時着を決めたという。走行中の車に当らぬよう細心の注意をはらったが、結局は二台の車を損傷する破目になった。その直後、ヘリは墜落し同橋の下に滑り込んで止まった。走行中の人らがパイロットとラジオのリポーターを救出し病院に運んだが、二人は奇跡的に打身のみで済んだ。車道は百メートルにわたって燃料が散らばって火災の危険性はあったが大事に至らなかった。
パイロットは飛行暦三年で滞空時間は一千時間(パイロットの資格は最低百時間)で航空会社でも優秀な一人とされている、パイロットの訓練の半分は事故に備えての不時着にあてられるという。同乗のリポーターは十六年間、サンパウロ市上空を飛んでおり、交通を良くするために従事しているのに事故で渋滞を引き起こして面目ないと語っている。
機体が車の屋根に当ったアストラ車を運転していたクラウジア・ニシさんは屋根がすごい音をしたのでビックリしたとし、プロペラで車がパンクした。
ヴェルサレェ車を運転していたルシアナさんは突然の空から落し物に無我夢中でブレーキを踏んだと驚いていた。二人ともケガはなかった。