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凶悪犯36人に仮釈放命令=衛生・環境が最悪と判事=行政への介入と知事猛反発=ミナス州

2005年11月19日(土)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十八日】ミナス・ジェライス州コンタジェン市で裁判所判事が有罪の判決を受けて服役している被告三十六人に対し仮釈放を命じたのを受けて、控訴院判事がその判決を取り消す命令を下したことで、司法の行政に対する越権介入が論争の的となっている。
 一連の国会スキャンダルで議会調査員会(CPI)に対する司法介入が取り沙汰されている中、ブラジル弁護士会(OAB)では今回の例は地方裁判所の出来事ながら、司法のあり方からも注目されるものだと指摘している。判事側が人道的立場から取った措置だとしているのに対して同州のネーヴェス知事は、社会治安を無視した個人プレーの行き過ぎだと痛烈に攻撃している。
 コンタジェン市は州都ベロ・オリゾンテ市から二一キロの人口五十八万三千人の町で、同市の裁判所は十六日、第二警察署に拘束されている三十六人の服役囚に対して仮釈放の判決を言い渡した。これら囚人は殺人、強盗などの凶悪犯罪ですでに刑が確定していたものばかりだった。
 仮釈放は人権擁護団体の要請を受けたもので、判事は判決理由の中で、拘置所は施設および衛生状態が最悪で「あたかも戦時中のナチスの収容所の様相を呈しており、刑に服する環境ではない」と述べている。これに対しネーヴェス知事が猛反発、拘置所は行政の管轄で、司法の介入は受けないとした上で、法の番人でありながら凶悪犯を野に放つの論外だとして判決を無視して釈放を禁じた。
 これを受けて控訴院判事が同判決の取り消しを命じたため、囚人らは所内にとどまった。裁判所側は同様の理由で十日にも第一警察署の服役囚十六人に対しても仮釈放の判決を下し、実行された。今回の判決取り消しで四人が再拘束されたが、残りはどこかに逃亡してしまった。
 同市の拘置所は定員二十七人に対して百三十四人が収監されており、州内刑務所の収容オーバーが四千七百人に達していることから、刑務所に移送できないのが現実だという。
 OABは、刑務所の環境は全国的問題であり、今回の出来事は単に釈放という問題ではなく、囚人の扱いと国の刑務所対策について問題を提起したと指摘している。