選挙法改正案草案を提出=裏帳簿には厳罰=政治献金は日の当たる場所へ=事実上のザル法にメス入る
2005年11月22日(火)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十一日】選挙高等裁判所(TSE)のヴェローゾ裁判長は二十一日、選挙運動での裏帳簿を禁じる選挙法改正案の草案を、ルーラ大統領とレベロ下院議長、カリェイロス上院議長に提出した。草案は弁護士のドッチ氏を中心とする法律や税法の専門家、監査人などが起草。裏帳簿は文書偽造罪とし厳罰に処す一方、政治献金のために税制恩典を設けた。改正案が定める処罰が適用されると、政治家は議員権を失うというもの。選挙の専門家は、これで政党が裏帳簿による表立った違反行為を行使できなくなるとみているが、選挙前年に当たる現在、同案の可決は至難の業とみられている。
選挙での裏帳簿が問題視されて六カ月、ようやく選挙裁判所が乱れた選挙ルールと監視制度の見直しに重い腰を挙げた。ヴェローゾTSE裁判長は二十一日、違反者の即時処罰と厳格な監査を導入する大幅改正案と、選挙の近代化に取り組む意向を大統領へ伝えた。
法案は新法ではなく現行法改正案で、二〇〇六年九月までに国会承認を図り、次期大統領選での執行を同裁判長は考えている。選挙違反による罰金は六四〇万レアルにも達し、最高八年の禁固刑も定めた予想以上に厳しい内容である。これまでの選挙法にはなかった議員権のはく奪も同改正案に盛り込まれた。
同改正案は手続きを簡素化し、資金管理を厳しくした。選挙費の検査期間は十五日から三十日とし、充分な時間的猶予が与えられた。ただし、議員の在任中に検査を行うとしている。現行法では選挙法の適用期間があいまいだったので、改正案は基本的部分を突いたことになる。
注視されるのは、選挙資金のための政治献金で税制恩典を設けたこと。これまでは、裏金による献金だったため会計処理ができず、領収証の発行もできなかった。それが政治献金として、日の当たる場所に出るようになった。
それでも政治献金は、本質的に裏金であるという専門家の意見が多い。裏金が脱税目的ではなくても、献金提供者は表ざたになることを避ける。献金提供が日の当たる場所へ出ることで、敵味方が判然とするからだ。落選者へ献金したことが判明すれば、当然当選者から報復を受ける。
注目は刑の加算。裏帳簿の作成は、文書偽造罪として刑事犯になる。現行法では一年以上五年以下の禁固刑であった。ほとんどの立候補者は初犯のため一年で済み、起訴の時点から起算して時効になった。従って事実上の不罰法と見なされ、タカをくくっていた。
それを改正案は、三年以上八年以下の禁固刑と重くした。これで時効はなくなり、選挙違反者は厳罰から逃れられなくなる。さらに党会計が乱脈な場合、党は税制恩典を失うという。
これまでTSEが審理の上、一度判決を下すと再審はなかった。しかし、改正法はいつでも選挙費の見直し審理を行い、有罪と認められると議員権のはく奪もあり得るとされる。
ブラジルでは一九六五年に現行選挙法が公布された。裏帳簿は違法と知りながら、選挙の活性剤として利用され、誰も意に介さなかった。ほとんどの選挙違反は民事で処理され、選挙管理委員会は形式だけの監査を行い、事実上のザル法だった。