2005年11月22日(火)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十九日】ルーラ大統領はブラジリアで十八日、ラジオ放送局の記者団との共同インタビューに応じ、来年の大統領選挙を視野に入れた経済政策の修正に集中していく方針を明らかにした。
またパロッシ財務相とロウセフ官房長官との間の政策論争にも言及し、双方の主張はそれぞれ異なる立場のもとでの見解の相違によるもので、論争により最良の選択肢が生まれるとの理解を示した。折から同日、ブラジリアでブラジル社会民主党(PSDB)が選挙に向けた結束固めの全国集会を開いており、インタビューはそれに照準を合わせ、けん制する含みもあった。
大統領は会見の冒頭で次期大統領選挙に出馬する意向を公の場で初めて明白にした。そのために残る在任期間内に、より良い経済政策へ方向修正を心掛けるとの態度を表明した。とは言え、パロッシ財務相の政策は妥当なもので、これまでの経済成長に貢献したことは高く評価すべきだとし、同相が主張している財政黒字四・二五%と税制見直しの路線は踏襲していくとの方針を示し、「同相には最後まで任を全うさせる」として一部の辞任説を強く否定した。その直後、大統領選挙出馬の表明を覆し、「仮に出馬した際は」と言い直し、出馬の意向は未だ決定していないことを強調した。
ここ一週間続いている財務相と官房長官の論争については、双方の立場の違いによるもので、どちらの言い分も正しいとの見方を示した。官房長官は苦情や開発案件の推進役で、言うなれば病院の患者待合室みたいなもので、治療の解決方法は予算の投入しかなく、そのために資金供与を渋る財務相を非難したもの。
いっぽうで財務相は世界各国でも同様、金庫番として支出を抑えるという当然の業務を遂行しているだけとし、それぞれの見解の相違を強調した。さらに両相とも現政権には不可欠な重要な人物だとの認識を改めて強調した。
さらに政権発足後の経済成長とインフレ抑制を評価し、基本金利(SELIC)も一九・七五%から一九%に下がり、さらに引き下げ気運にあることで、これによりドル高も修正できるとの楽観姿勢を見せた。