2005年11月22日(火)
元ブラジル大使で今年四月から海外日系人協会の理事長をつとめる塚田千裕氏がブラジルを訪れた。滞在中は十九日に開催されたCIATE(国外就労者情報援護センター)地域コラボラドーレスの集いに出席したほかブラジリアなどを訪問し、二十一日に帰国した。
塚田理事長は一九七七年から八一年まで、一等書記官としてブラジリアの大使館に勤務。本省の中南米第一課長を経て八七年から八九年までリオデジャネイロ総領事、九六年から九八年までブラジル大使を務めた。
最初のブラジル赴任中に日本移民七十周年、二度目には八十周年を経験。ブラジル大使として九十周年に立ち会うなど、長年にわたりブラジル、南米と深い関わりを持ちつづけている。
日系人協会理事長に就任したのは今年四月。百周年を二年半後に控えた時期の就任について「外務省を退職後、再び日本とブラジルの関係を手伝えることを、非常に幸せに感じています」と気持ちを語る。
犯罪や教育などデカセギを巡って様々な問題が起こる中、日系人協会が果たす役割も期待されている。協会では専門職員による相談窓口を設け、ポルトガル語、スペイン語での相談を受け付けているが、理事長は「全国にいるデカセギの問題を一機関だけでやるのは難しい」と語り、中央、地方の自治体をはじめ各機関の協力が必要との考えを示した。
一方で、協会の主要事業である「海外日系人大会」の重要性を強調。「世界各国の日系社会代表が集まり、日系の意識、日本と結びつきをもってもらう機会」とその意義を説明した。
今年の日系人大会で決議された「国際日系ネットの構築」については、有識者等の意見を聞きながら研究中。数年内に実現する方向で検討しているという。
二年半後の日本移民百周年については「各団体のプロジェクトが上がっているが、その中で多くの人が望むコンセンサスが得られるものが実現すればいいと思う。決めるのはコロニアの人たちです。こちらとして手伝えることがあれば手伝いたい」と語る。
その一方で「個人的には、日本語や日本の文物についてコロニアの若い世代にもっと関心をもってもらいたい」とも。
資金の問題について問うと、「自分たちで出すことを考えるのも大事」と語り、コロニア側の自助努力の必要性を指摘した。