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190番通報3万件=軍警司令部=商議所が見学

2005年11月22日(火)

 ブラジル日本商工会議所によるサンパウロ州軍警首都圏司令部見学会が十七日午後、サンパウロ市ルース区の同本部で実施された。会議所の環境安全対策委員会が主催したもので、約三十人の会員が参加。軍警の組織や活動、交番制度などの取組みについて担当者の話を聞いたほか、一日三万五千件の一九〇番通報を受け付ける通信司令室(COPOM)などを見学した。
 州軍警は大サンパウロ市圏、インテリオールなど管轄地域や、消防、高速道路などその活動の内容によっていくつかの司令部に分かれる。
 サンパウロ市内を担当する首都圏司令部(CPC=Comando Policiamento Capital)には約二万二千人が所属。市内八地区の連隊が二十五の大隊に分かれている。これを統括する司令室がCOPOM(Centro de Operacoes Policiais Militares)だ。
 見学会では、最初に作戦企画課長のルイス・デ・カストロ・ジュニオール少佐が軍警の組織と活動、COPOMの機能について説明した。
 同司令部では現在、パトカーやバイクによるパトロールのほか、学校の巡回活動、事件の予防を目的とした主要道路でのパトカー配置などの活動を行なっている。
 また、交番制度に代表される日本の地域警察活動の導入を進め、現在市内八カ所にモデル交番を設置。今年一月からJICAの専門家として石川県警の徳田秀輝警部が滞在している。
 COPOMが受け付けている一九〇番通報は一日三万五千件。そのうち一二%が現場に出動する内容で、オペレーションセンターから司令を発信する部署に回され、平均十四分で現場に到着するという。
 参加者からは「ポルトガル語以外の電話にも対応できるのか」「いたずら電話への対応は」「軍警と文民警察(Policia Civil)との違いは」など活発な質問が上がった。
 少佐はこれに答え、軍警の仕事は事件発生時とその直後、民警の仕事はその後の捜査などが中心になると説明。また、英語での対応は可能、日系の警察官も多いので日本語の電話にも対応できるだろうと述べた。
 説明後、一行はオペレーションセンターと司令発信の部署を見学。最大七十人に応対できる部屋の中では、見学中にもひっきりなしに電話を受ける声が聞こえる。
 「名前は?」「年齢は?」「その女性(女の子)の服の色は?」「ブラジル通りですか?」。個人情報はネットワークでつながっており、ID番号や車のナンバーなどを通して犯罪歴などが分かる仕組みになっているという。
 センターを監督するザカリアス大尉の説明を聞く。その間にも「二十分くらい前に、銀行強盗がありました。一人は捕まりましたが、残りの二人は逃げたようです」と淡々と話す。
 見学後、一行は場所を移して、軍警の谷口潔中佐、徳田警部から話を聞いた。
 徳田警部は日本の警察システムやサンパウロで実施中の地域警察プロジェクトについて説明。「交番制度は日本では百三十年の歴史があるが、ブラジルではまだ始まったばかり。日本のやり方が全てそぐうものではないので、ブラジルの実情に応じた活動をしていきたい」と抱負を語った。