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「インフレを恐れるな」=官房長官、パロッシ陣営に苛立つ

2005年11月23日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十二日】ロウセフ官房長官の「予算をもっとふるまえ」節に反論するマスコミの報道は全くないようだ。同長官は緊縮財政一色の経済閣僚会議で、年間一五%位のインフレにビクビクするなと発破をかけた。同長官は、パロッシ財務相の経済政策に反旗を翻す急先鋒といえそうだ。
 一五%インフレ発言の背後には、経済成長を犠牲にしてインフレ撲滅を最優先するパロッシ陣営への苛立ちがある。まさに、角を矯めて牛を殺す経済政策である。政府は予算を凍結してインフラ整備を停止、下級労働者から職を奪った。
 同様の理由で労働者党(PT)の中にも、硬直状態の通貨政策に批判的な党員は多かった。伝統的にも思想的にもPTと連携関係にあった労組にも、この考え方は浸透していった。
 ハイパーインフレの時代は、労組にとって労働者の給与調整は容易であり、労働者の指揮も簡単で思うように動かせた。インフレによる給料の目減り対策は,労組の大義名分であった。ところがインフレ抑制の金利政策は、投機家と銀行だけを太らせた。
 ある程度のインフレが経済成長のバネになることは否めない。オムレツを作るためには卵を割らねばならない。しかし、金融市場へ参加する術を持たない労働者や下層階級は、インフレに対し無防備である。有産階級にとってインフレほど儲かる最短コースはない。
 だがインフレによる給料の目減りが激しいと、消費を駆逐する。そして投資と雇用創出は止まり、社会福祉も富の再分配もなく全体が停滞する。公共債務と均衡財政の制御を失うと、四五年のチリと八九年のアイルランドのようになる。
 ロウセフ官房長官やワグネル氏、マリーニョ氏の一五%インフレ容認は、現政策を否定するものではない点で理解できる。理解できないのは、労働者の福祉優先を標榜するルーラ大統領の政策である。経済成長を促しながら、具体策になると優柔不断なのだ。