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ブラジルを新拠点に=アメリカで=和太鼓指導=本郷さん意欲語る

2005年11月23日(水)

 アメリカ、ロサンゼルスに三十年以上にわたって生活し、和太鼓の普及と公演活動に励む本郷悦雄さん=東京都出身=が十二日来伯、ブラジルの和太鼓グループを視察している。
 本郷さんは一九七三年に渡米、アメリカで五つ目となる太鼓チームをロサンゼルスで立ち上げた。現在北米で二百五十から三百の団体がある、その先駆けとなる存在。五つの太鼓グループを持ち、指導をしながら公演活動も行っている。
 来伯の目的は、近年和太鼓が盛り上がってきているブラジルを、新しい活動の拠点とするための下見という。
 「アメリカはすっかり和太鼓がアメリカナイズされてしまい、団体の数は増えたが全体の質は下がってしまった。ブラジルは日本的なものを求めて和太鼓を始める人が多いと聞いたので、伸ばせばよくなると思った」と語る。
 アメリカでは「日本の太鼓とは違ってよい」との考え方が広まっており、太鼓を楽器として使うだけのグループが多いという。
 「構え、心、腕の振り方などの基礎があってこそ和太鼓。アレンジはあっても基礎は一つ。それが失われつつあるアメリカではもう呼びかけても取り合ってもらえません」
 「日本の伝統文化を教える以上は正しいものを伝える責任がある。もちろんアレンジや個性はあるべきだが、ゆるぎない筋は通さなくてはいけない。それを伝えたい」と熱意を語る。
 条件さえ揃えば移住する気も。「太鼓を運ぶための税金、自分で太鼓を作るので、材料の調達方なども調べます」
 ただ、ブラジル太鼓協会の邪魔はしたくない、と前置き、「太鼓を知らない人だけが協会を運営していくのは難しいはず。そもそも個性が大切なのだから一括りにするのは大変。太鼓を叩く人は太鼓に、政治に力のある人は運営にと役割をわけるべき」と提言した。
 十六日に同協会を訪ねたが、加盟団体や今年五月に行われた選手権大会のビデオは「見つからない」とつれない対応をされた。
 「丹下セツ子さんが太鼓をやっているのは前から知っていたので連絡をとって見に行きました。昨夜はリベルダーデを歩いていたら太鼓の音が聞こえたので音の元へ駆けつけました」
 二十六日までの下見期間で、なるべくたくさんの太鼓チームを見て、どうやったらブラジルの太鼓と自身の将来がやっていけるかを考える。
 丹下さんの紹介で十九日に弓場農場へ行き、一昨年のクリスマスにイグアス移住地から寄贈された太鼓をどう活かすかという相談に乗った。
 「渡部一誠会長(同協会)とも会ってお話をする予定です。またブラジルへ戻ってこられるような成果があれば」と期待する。