2005年11月24日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十三日】サンパウロ市東部の青少年更生施設(フェベン)タトゥアペ収容所で二十二日、収容されている少年らによる暴動が発生し、五十五人が負傷した。うち二人は重傷で手術を受けたが重体に陥っている。
負傷者のうち三十一人は施設の職員で、残り二十四人は収容者、重体の一人は精神科の女医だ。この騒動で六十一人が脱走、四十九人が再拘束された。サンパウロ州にある七十六カ所の収容所で今年に入り三十四回の暴動が発生しているが、タトゥアペ収容所ではその半数を上回る十八回目の暴動となった。負傷者の数はこれまでの最大級となった。
アウキミンサンパウロ州知事は同収容所の度重なる暴動と脱走に手を焼き、また収容所が幹線道路のセルソ・ガルシア通りに面していることから混乱が生じるため、一時閉鎖して収容者らを他の収容所に移送することを決定したが、他の収容所も手狭なために、同収容所を改修して継続させることにした経緯がある。
暴動は午前十一時半に発生、少年らは三時間にわたって寝具マットや日用品に火を放ち施設を破壊した。このため軍警の機動隊、騎馬隊、特殊部隊が出動し鎮圧に当った。騒動は十六棟のうちの三棟から火の手が上がり、全棟に広がった。
同収容所には千三百五十人が収容されているが、このうち三百九人の凶悪犯が収容されている特別棟が口火を切り、職員の人質狩りが始まった。人質となり負傷した職員の大半はこの棟で手荒な行為を受けた。負傷した少年らは警官に発射したゴム弾を被弾したり、はい登った屋根から転落したのが多かった。脱走者はドサクサに乗じ、正門を壊し脱走した。
逃亡者は近くのファベーラに潜り込んだり、隣家の屋根伝いに逃亡を企てた。うち二人は、屋根に穴があき建具店内に転落したがケガもせず、店主の車を強奪して逃走するという運の良さ(?)を見せつけた。
施設では暴動の動機が不明のため、調査委員会を設置して原因の究明に乗り出した。施設によると、これまで暴動が発生する事前に、決まって収容者の母の会のメンバーが面会に現れており、今回もメンバーは週末に人権擁護団体のメンバーと共に面会に来ていたことから、暴動のきっかけあるいは示唆があったとみて、追及していく方針を打ち出した。
母の会のメンバーは関与を否定しながらも、少年らは施設の扱いに不満を抱き、このままでは済まさないと暗に行動を起こすことをほのめかしていたと供述している。