2005年11月26日(土)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十五日】ロウセフ官房長官を中心とする閣僚グループは二十四日、これまで財務相の権限であった二カ月毎の省庁予算額と交付時期、交付条件、交付先の決定権限を予算執行委員会(JEO)へ移譲するよう提言した。財務相の欠席でポルトガル次官が代理出席する中、同委員会が開催され、財務相の権限縮小に向けた動きが感じられた。ルーラ大統領は閣僚間の摩擦をけん制し、大統領自ら省庁問題で舵を取ると声明を発表した。一方で官房長官とベルナルド予算管理相は、予算交付を巡ってひんぱんに接触を続けている。
国庫の公的資金交付の是非を決める財務相の絶対的権限を取り上げるため、官房長官と同調する閣僚らが動き出した。JEOは、財務相と官房長官、予算管理相をメンバーとする大統領直属の組織である。二十四日の同委員会を財務相は再度欠席した。
官房長官と予算管理相は財務相不在のため、九、十月の歳入と歳出に関する最終報告書をまとめた。官房長官がJEOで事実上の主役を務めた。二十四日の会議で歳入額が計上され、予測を九〇〇〇万レアル上回ったことが判明した。
大統領は財務相と官房長官、予算管理相の他、マンテガ社会経済開発銀行総裁を新たに招き、経済政策で閣僚間の確執が表ざたにならないよう注意した。意見の相違がある場合、大統領自身が介入し、成敗するという。
官房長官を中心とする閣僚らは、財務相のオハコである財政収支の黒字額で主役を務めたかったようだ。財政黒字は、予算責任法(LDO)により二〇〇五年に国内総生産(GDP)の二・四%以上と定められ、閣僚らが立ち入り禁止の聖域となっている。
全ての政府機関は最低四・二五%の財政黒字の捻出が義務つけられた。連邦機関が二・四%、州が一・一%、市と公社が〇・七五%。〇五年の財政黒字予定額は、財務相が経済スタッフと公共債務のからみで年度末に決める。
政府は高金利政策を採ったため、公共債務が予想以上に膨張した。それで四・二五%の財政黒字は、債務の金利決済には焼け石に水が明らかとなった。財政黒字で金利の決済ができないなら、金利政策は失政であったことが明白だ。
JEOは、省庁予算と歳入の照合をする。事実上JEOの役目は、予算交付でなく予算カットの場といえる。財務相とレヴィ国庫庁長官の役目は、予算カットによる失政の穴埋め役である。財務相は経済政策が不変というが、金利政策の失政はどう説明するのか。
財政黒字の捻出は全省庁の協力がないとできない。大統領はこの辺の矛盾について触れていない。財政黒字のブレーキ役、マンテガ総裁がJEOへ招かれたのは、官房長官にとって持ち駒が増えたことになる。同総裁のJEO兼任で財務相が不快というマスコミ報道は事実誤認だと同総裁が否定した。