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WHO=家庭内暴力の実情公表=サンパウロ州で28万件の訴え=世界平均上回るブラジルの被害

2005年11月26日(土)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十五日】二十五日は国連が制定した家庭内での婦女暴行防止デーだったことから、世界保健機関(WHO)は二十四日、家庭内暴力の実情の調査結果を発表した。それによるとサンパウロ州の主婦の四人に一人が、またペルナンブッコ州では三分の一が、被害にあっていることが明らかになった。
 世界平均が六人に一人であることからブラジルは高率に位置している。さらにこの種の暴力は表ざたにしない傾向にあり、調査では二〇%が泣き寝入りしていることから実数はさらに多いとみられている。ブラジルはカトリック教の信仰心が強く、男性はフェミニストとみられていたが、その概念とは裏腹な一面が浮き彫りとなった。
 調査は二〇〇〇年から〇三年にかけてブラジルを含む日本、エチオピア、タイ、タンザニアなど二万四〇〇〇人を対象に行われた。サンパウロ州では十五歳から四十九歳までの婦女千百七十二人の聞き取りが行われ、うち二九%が家庭内で夫あるいは同棲相手から暴力なり性的虐待を受けた経験があった。ペルナンブッコ州では千四百七十三人のうち三七%が同様の仕打ちを受けた。
 これらの暴力で調査対象十カ国の婦女の二五%から五〇%は治療を必要とし、後遺症に悩まされていることが社会問題となっている。サンパウロ州では四〇%、ペルナンブッコ州では三七%がこの後遺症に悩み、いずれも三分の一が病院に運ばれ、二〇%が入院した経験を持っていた。
 性的虐待については妊娠した世界の女性の平均四%から一二%が性的暴力を伴った不合意の性交渉の挙句だとし、その九〇%は子供の父親の仕業だと告白している。これに対しサンパウロ州では八%、ペルナンブッコ州で一一%が性的虐待と暴力が妊娠の原因だとしている。また家庭内暴力の被害者の三分の一が集中的に下腹部への暴行を受け、また強姦まがいの性交渉を強いられたと告白している。主婦ばかりでなく若い世代も強要されたセックスの犠牲となっており、サンパウロ州では一二%、ペルナンブッコ州では九%が十五歳以下で虐待や暴行を経験している。
 調査によると、被害者の二〇%が、加害者が夫や同棲相手であることから、犯罪が成立しないとして泣寝入りしているという。現実にブラジルでも家庭内暴力はセスタ・バジカ(日常必需品)一カ月分相当の罰金という軽い刑が適用されるに過ぎない。これに対し上院は厳しい罰金を盛り込んだ法令を緊急案として上程している。サンパウロ州女性擁護警察署によると、家庭内暴力で昨年、二十八万九〇〇〇件、今年十月までに二十六万件の訴えがあったという。