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幹細胞実験治療に世界が注目=心臓病など最高水準=へその緒、髄液にも細胞存在=受精卵幹細胞の人格問題に

2005年11月30日(水)

 【ヴェージャ誌一九三二号】幹細胞研究では世界の最先端にあるブラジルの医学界で、三百人の難病患者が「待望のジョーカー」といわれる幹細胞治療を受けている。幹細胞とは当初、受精後細胞分裂が始まった初期の細胞と考えられていた。その後研究の結果、幹細胞は臍帯や髄液、中絶した胎児、クローン細胞にも存在することが判明した。受精卵を使わない幹細胞培養が生命の倫理観に抵触するかどうか、学者と宗教関係者の間で議論の対象となっている。
 幹細胞を使った実験的治療でブラジルは、ドイツやフランスと並び世界の注目の的となっている。殊に心不全や肝硬変、脳細胞血管の治療では世界の最高水準にある。シャーガス病や心筋梗塞でも幹細胞による治療技術の専門研究がブラジルで盛んである。
 保健省の資金援助で六月、心臓専門の幹細胞治療研究班がリオデジャネイロ市のラランジェイラス病院で結成され、四十の病院で治療中の千二百人にのぼる心臓病患者が、生体実験に自ら候補に名乗り出た。心臓病の他に糖尿病や動脈硬化の幹細胞治療でも、注目すべき成果が発表されている。
 研究班は喪失した免疫力の回復や治癒、神経系統の再活動、再生不可能と思われた口腔周辺の骨格など、幹細胞治療による新しい成果報告を次々受けた。深い傷を負って運動神経が切断された場合の回復など奇跡的成果も報告された。
 幹細胞治療による回復期間は、全般に半分へ短縮された。長期の治療を要するパーキンソン病や動脈硬化による多種臓器不全、筋肉の切断、脳障害などへの適用で注目を引いている。
 細胞といっても、臓器によって細胞組織の組成が異なる。幹細胞も臓器によって異なるので、ここに細胞学が存在する。どの幹細胞がどの臓器を組成するかは、研究中である。たとえ臓器が組成されても、所期の機能を発揮するかは別の課題である。
 研究成果として、血液の疾患が原因とされる貧血や白血病、一部の癌に幹細胞治療の効果があることが証明された。患部の損傷部分に該当する幹細胞を注入し、培養によって代替臓器を組成させるのである。
 現時点では必要な幹細胞を抽出した後、残部細胞の処分について法整備はない。残部を保管し、必要に応じて必要臓器の培養を行うことにしている。研究室の棚は臓器のスーパーマーケットである。
 幹細胞の残部臓器管理は、新しいテーマである。他人の幹細胞の提供を受ける場合の拒絶反応についても、研究する必要がある。幹細胞には二種類ある。一は受精後四日目で、臓器別繁殖が始まった時点の幹細胞。二はへその緒か髄液から摘出した幹細胞。二は摘出が容易だが数量と類別に限度がある。
 現在幹細胞治療に使われているのは、大部分が二である。患者自身の身体から摘出するので、拒絶反応の心配はない。他人から幹細胞の提供を受けるのは、白血病患者である。
 受精卵の人格視について、学者は受精後十四日目の神経機能が発動する時点からとしている。米国は同問題に厳しく、英国と韓国は開放的だ。ブラジルは研究目的に限り解禁されている。

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