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経済政策論議はムダ?=順調な成長で全て丸く収まる

2005年11月30日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十八日】本当のことを言わないほうが良いときは、別の言い方をするのが人間の知恵。ポ語には面白い言い方が多数ある。シフルード(曲者、悪魔の意味)やカペタ(腕白小僧、小さい悪魔)、チニョーゾ(いやな人物、奇怪な悪魔)などいくらでもある。聞く者も何をいっているか容易に想像でき、ユーモアがある。
 それなのに経済に関する話題となると、途端にユーモアのつもりで言ったことが、起きなくてもよい摩擦や誤解を引き起こす。そして、とんでもない方向へ発展する。経済が空回りする。帝政時代からのブラジル気質やバンデイランテス精神が引き合いに出る。
 例えば、経済政策の変更だ。誰もが口にするが、内容は丸で違う。ネオリベラルとか、部分的モラトリアムやIMF協定の破棄など。過激な意見は少数である。大部分は経済成長の優先や低金利政策、生産部門への予算振り向け、社会福祉への予算増額などを訴えるものだ。
 基本金利を引き下げてレアル通貨を下落させ、貿易黒字を生み出し、財政黒字は程ほどにして公共投資へ回せという意見が多い。いま官房長官と財務相が争っているテーマである。それは火事場へ油を担ぎ込むようなものと、財務省経済スタッフが懸念する。
 為替政策批判の急先鋒デルフィン元財務相の財政赤字ゼロ計画は、そのひとつといえそうだ。セーラサンパウロ市長も現経済政策の批判者だ。インフレ管理と為替管理、公共債務の構造改革で通貨の安定を図るというもの。その政策も九九年に馬脚を現し、机上論に過ぎないことが判明した。
 全ての処方せんを見てみると、経済政策変更のため悪魔を追放する必要はなさそうだ。経済が順調に成長すれば、経済政策を強いて変更しなくても経済自らが自動的に政策を変更して行く。産業人は政治家が考えるほどヒマ人ではないし、政策論議で一喜一憂しないとサンパウロ州工連がいう。