2005年11月30日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十九日】ブラジルは十八日、経済に関する二つの重大ニュースを知ったと経済評論家のセウソ・ミング氏がいう。ルーラ大統領は、最高の成果で偉大なる勝利とこれまで誉めそやしてきた経済政策を立て直すというのだ。
大統領は二〇〇二年六月、ブラジル国民に伝えると題して、基礎収支の財政黒字を経済の旗印とした。基本金利は、インフレと公共債務を制御できる限度まで上げた。経済スタッフは均衡経済のためとして緊縮財政を唱えた。ところが大統領は変心したのだ。
大統領は、財政黒字も高金利政策も不要と言い出した。フルラン産業開発相が〇五年一月、政府の金利政策と為替政策を批判したとき、同相はパロッシ財務相から灸を据えられた。大統領はその時、閣内の不協和音を理解していなかった。
今度はロウセフ官房長官が、緊縮財政政策を批判し新たな狼煙を上げた。今度のパロッシ対ロウセフ戦は、官房長官に軍配が上がったように見える。上院経済諮問委員会における財務相の証言内容によれば、もはやパロッシ財務相は打つ手がないらしい。
大統領は二週間前、大統領再選への意欲がないことを表明した。それが舌先の乾かぬうち、再出馬への意欲を覗かせた。再出馬が決まれば公的資金のバラまきが始まり、緊縮財政だ財政黒字だなどととぼけたことは言っていられない。
ルーラ大統領は〇二年選挙で秘密兵器を二つ持っていた。豊富な政治資金と変化を求める国民の要求である。それでも大統領は当選に自信がなかった。決定打として国民の信頼獲得に訴えた。
国民の信頼は、ルーラ大統領が期待の改革を実行してくれることだった。とこが大統領は前政府の路線を引き継ぎ、理想の改革らしいことをしなかった。
労働者党(PT)のイデオロギーは難しい。大統領はジルセウ前官房長官やグシケン前広報長官、ジェノイーノ前党首、ドゥーダ氏などの相談相手を失い、今度はパロッシ財務相を失おうとしている。孤独の大統領は、どの無頼漢に相談したらよいのか。